首位から出た松山英樹(25=LEXUS)が1バーディー、3ボギーの73でスコアを落としながら、通算6アンダーの207でトップと1打差の2位につけた。

 1番からティーショットを右に曲げ、3オン2パットのボギースタート。その後もフィニッシュを崩す場面が続いたが、スコアを崩さないのが松山。「耐えてましたね」。9番は4メートル弱のパーパットを流し込んだ。後半の12、13番と連続ボギー。15番では2メートルのバーディーパットを外し、一時は4打差まで離された。

 ツアー屈指の難度を誇る上がり3ホール「グリーンマイル」で戦況が一変。トップのケビン・キズナー(米国)は16番で第2打を左の池に入れてダブルボギー。最終18番は同組のジェーソン・デー(オーストラリア)がティーショットを右の林に突っ込んで大トラブルを招いた。激しくスコアが動く中、松山はいずれもストレスのかかるラインを残しながらパーを拾い続けた。

 「(グリーンマイルの怖さを)思い知らされましたね。同じ組の人が打って」。その何が起こるか分からない3ホールを見事に耐え切ったからこその1打差。「助かりましたね」と言ったが、大きなチャンスを残せた要因は松山自身の粘りにほかならない。

 苦しんだショットはスイングで抱える違和感に起因しているという。「少しは優勝争いしているというプレッシャーもありますし、ずっと今週自分の中で違和感があったのが、今日思いっきり出てしまった感じ。(最近の)スコアがいいので、それを言ってもみんな信じてくれないですけど…」。さらにパットも「ショットと同じくらい最悪ですね」。それでも「1ストローク差というのはテンションが上がりますね」と少しだけ笑顔を見せた。

 これまでも自らの状態を嘆きながら、異国の地で5勝を積み上げてきた。「最終日に絶好調だと思って勝ったのは先週(ブリヂストン招待)くらい。チャンスもあると思いますし、逆にピンチも今日みたいにたくさんあると思いますけど、1つ1つ無駄のないように。ミスするのは仕方ないですし、それはするものだと思って、その分いいショット、いいパットが打てるように」。描いた青写真は「最後の3ホールくらいに面白い位置でいられたら」。

 長い長いラウンドを終え、取材対応を済ませると午後8時を回っていた。誰もいない、日没直前のパッティンググリーンで黙々とボールを転がした。悲願のメジャータイトルは、目の前に迫っている。