世界ランク3位の松山英樹(25=LEXUS)が、絶好の位置につけて勝負の18ホールを迎える。1バーディー、3ボギーの73でスコアを落としながら、通算6アンダーの207で首位ケビン・キズナー(33=米国)と1打差の2位。日本男子初のメジャー制覇へ最終日の逆転にかける。

 松山が少しだけ笑顔を見せた。「自分のプレーの内容にはすごく不満があって、気持ちはすごく下がりますけど、1ストローク差というのはテンションが上がりますね」。16年マスターズの2打差を上回り、21試合目となるメジャーでは最も優勝に近い位置で最終日を迎える。

 ティーショットを右に曲げた1番でいきなりボギー。「耐えてましたね」と振り返った通り、前半だけで1パットパーは4度を数えた。「少しは優勝争いしているというプレッシャーもありますし、ずっと今週自分の中で違和感があったのが、今日、思いっきり出てしまった感じ」。スイングのフィニッシュがなかなか決まらず、後半はフェアウエーからグリーン左へ外した12番から連続ボギー。15番では2メートルのバーディーパットを外し、一時は4打差まで離された。

 「1、2、3打差くらいで。せめて、4打差だな」。1週間前に自ら設定していたリミットまで追い込まれたが、ツアー屈指の難度を誇る上がり3ホール「グリーンマイル」で最高の粘りを見せた。16番で池に入れたキズナーが3ホールで3打、最終18番で「8」をたたいたデー(オーストラリア)が4打と、同組2人がスコアを崩す中、3ホール連続パーでしのいだ。「思い知らされましたね。同じ組の人が打って」。何が起こるか分からない3ホールに嫌なイメージを残さなかった意味は大きい。

 「最後の3ホールくらいに面白い位置でいられたら」。インタビューを終え、日没直前、誰もいないパッティンググリーンで黙々と30分間ボールを転がした。90年以降、前週に勝ってメジャーで連勝を飾ったのは06年ミケルソン、07年ウッズ(ともに米国)、14年マキロイ(英国)の3人。ウッズとマキロイはブリヂストン招待と全米プロの連勝だった。同じルートをたどる資格は、間違いなく備えているはずだ。【亀山泰宏】