吉田弓美子(30=フリー)がアクシデントを乗り越え、今季2勝目をつかんだ。首位と2打差の3位から5バーディー、3ボギーの70で回り、通算9アンダーの207でツアー通算7勝目を挙げた。13番パー4でキャディーのミスによる1罰打を帳消しにする逆転Vだった。史上2人目の3週連続優勝がかかった畑岡奈紗(18)は通算6アンダーで6位フィニッシュとなった。

 最終18番、約2メートルのフックラインのバーディーパットを決めて優勝を決めた吉田は、うれし涙をためた10歳以上年上の男性キャディーに近づいた。頭をなで、ガッチリと握手した。「忘れられない30代の初優勝です」ともらい泣きした。想定外のミスを2人で乗り越えた今季2勝目の味は格別だった。

 13番グリーンで吉田が、わが目を疑った。ボールとカップの延長線上の反対側からラインを読んでいると、球をリプレースしていない状態で、キャディーがボールの前にあるマーカーを取り上げて1罰打のボギーに。「何が起きたのか理解できなかった」と気持ちの整理に苦しんだものの、ジュニア時代から慣れ親しんだコースで空や森を見つめ、心を落ち着かせることができたという。上位陣の失速もあって2打差を逆転し、頂点に立った。

 先月中旬からゆっくりとタメをつくるスイングに改造中で、パッティングもクロスハンドから順手に変更。来季に向けて修正している途中段階での優勝に「ゴルフの可能性は無限大だなと思います」と納得の表情。畑岡ら10代の台頭が目立つ女子ツアーで、吉田は「まだまだ頑張れる」と30代の星として輝き続ける心意気をみせた。【藤中栄二】

 ◆吉田弓美子 よしだ・ゆみこ。1987年(昭62)4月28日、神奈川・相模原市生まれ。父一成さんの影響で10歳から競技開始。厚木北高卒業後、07年からプロとしてツアー参戦。12年NEC軽井沢72でツアー初V。164センチ、65キロ。