悪天候による最終日中止のため、初のツアー優勝をつかんだ小鯛竜也(27=フリー)が、喜びをかみしめた。17歳だった07年10月にプロ転向しながら、ツアーデビューまで4年かかった。昨年、ようやく下部ツアーで結果を残し、今季前半戦の出場権を獲得。今大会は「フォールシャッフル」での出場だった。

 苦労人の27歳は「ここまで長かったです。試合に出られず、自分の実力を発揮する場所がなかった。それが1番苦しかった。実力を発揮する場所に行くまでに時間がかかってしまって、何をしていいのか分からない時期がありました。気持ちが腐ってしまった時もあったけれど、辞めることは絶対に考えなかった」と明かした。

 誰にも向けることができない自分へのいら立ちがあった。ある日、小鯛は「コーチに当たってしまった。そうしたら『まだお前は何も始まっていない。ここで終わってしまうのはバカだ』と言ってもらえた。チャレンジ(下部ツアー)に出られるようになった時、まずコーチが試合に出場できるようになったことを喜んでくれた」としみじみと語った。

 満足に賞金を得られなかった時期、ハウスキャディーをしながら共働きで支えてくれた年上の妻と、3歳の長女、0歳の長男がいる。

 3日間短縮競技になった場合、優勝賞金は75%に減額となるが、今回は主催者の意向で全額3000万円が入る予定(賞金加算は75%)。小鯛は「(来年)子供が幼稚園に行く。家を買ってあげたい」と最高の笑顔を見せた。