賞金ランク2位の宮里優作(37=フリー)が4バーディー、3ボギーの69で回り、1アンダーで首位と3打差の8位につけた。同組の賞金ランクトップ小平智(28)が4オーバーで出場30選手中26位と出遅れるなど、賞金王の可能性を残す4人では最上位につけた。逆転戴冠には今大会の優勝が必須。13年に最終日の18番でチップインパーを決めて悲願の初Vを飾った舞台で、再びドラマを起こす。

 照明もあてられた18番グリーンで宮里優は2・5メートルのパーパットをねじ込んだ。「この(首位と)3打差が大きいのよ」と苦笑しつつ「アンダーパーで上がれたのはすごく良かった。3打差と4打差じゃ、また違う。ちょっと腹をくくって少し強めに打った。最後が大きかった」。特に傾斜がきつい名物ホール18番のグリーンで訪れたピンチをしのぎ、小さくうなずいた。

 どんより曇った空から雨も降り、10番で早くも「暗くてほとんど見えない。どこに打っていいか分からない」という状況に苦しめられた。「久しぶりに少年の頃を思い出した。(当時は)感覚で打ってたなって」。耐えられたのは、安定したショットがあればこそ。かつて20代前半で乗り込んだ米ツアーで厚い壁にはね返された。転機は「35歳を超えてからかな…」と振り返る。飛距離にこだわることをやめた。外国人選手を意識して、これ以上トレーニングで体を大きくしようとすれば、バランスを崩してしまう。海外挑戦の夢は抱き続けたまま、精度で戦う道を選び、磨いてきた。

 日本シリーズJT杯で勝って賞金王となれば、12年藤田寛之以来。過去にも片山晋呉、尾崎将司、尾崎直道、中嶋常幸、青木功とそうそうたる名前が並ぶ。シーズン最終戦Vでの逆転賞金王となると、記録が残る85年以降では00年の片山しかいない。「明日、また頑張ります」と短い言葉に決意をにじませた。【亀山泰宏】

 ◆賞金王戴冠条件 小平を追う3人が賞金王となるには今大会の優勝が必須。宮里優は優勝すれば小平の結果に関係なく逆転。C・キムは小平が3人以上の2位タイ以下、池田は小平が5位タイ以下(小平が4位タイの場合もタイの人数次第で可能性あり)となる必要がある。