石川遼(26=CASIO)が池からのスーパーショットで上位争いに加わった。予選通過が微妙な57位から出て6バーディー、1ボギーで迎えた最終18番パー5。辛うじて池の縁に止まった球を、両足を水中に沈めたまま第3打を放ち、グリーンに乗せてパーとした。66で回り通算5アンダーで首位と5打差11位に急浮上した。初のツアー優勝を狙う星野陸也(21)が同10アンダーで単独首位。

 夕暮れの18番で石川が靴を脱ぎ、迷わず池に入った。林からの第2打はグリーン手前、左の池の方向へ。「ダフって、池に入ったかと思った」。辛うじて縁に止まった球を見つけると、膝まで水につかり、残り50ヤードの第3打をグリーンに乗せた。窮地を乗り切り、2パットのパー。予選突破が微妙な57位から出て66で回り、11位に急浮上。弟分で首位の21歳星野の背中がうっすら見えたことで「陸也(星野)と最終日最終組で回りたい」と言い切った。

 08年11月2日、マイナビABCチャンピオンシップ最終日。石川は18番で水中の球をグリーンに乗せるウオーターショットで、プロ転向後ツアー初優勝をつかんだ。状況は違えど、10年の時を経て妙技がよみがえった。「僕は自由にコースを見るタイプ。昨日は自分の視野を持てなかった。そこは改善された」。残り2日で首位と5打差。今の石川なら、十分に射程圏だ。【益子浩一】