“黄金世代”と呼ばれるルーキーの1人、新垣比菜(19=ダイキン工業)が、ツアー初勝利を挙げた。通算11アンダーの首位で出ると、1バーディー、3ボギーの74で回る我慢のゴルフを続け、第1日から首位を守り抜く通算9アンダー207の完全V。昨年引退した宮里藍さんと同じ沖縄出身の「藍ちゃん2世」が、昨年の賞金女王鈴木愛(23)らとの優勝争いを制し、その実力を証明してみせた。

 初優勝は同世代の祝福で実感した。最終18番で80センチのウイニングパットを決めた新垣は「意外に冷静でした」とギャラリーの大きな拍手と歓声に会釈。涼しい表情で競技を終えると、うれし涙を流した勝みなみ、吉川桃、吉本ひかるのプロ同期、同学年の河本結に囲まれた。「4人が喜んでくれていたのをみて、私も」と両目に涙をため、勝利を味わった。

 首位で出た最終日最終組で、鈴木、ツアー1勝の永井と優勝争いを展開した。3番でボギーが先行し、10、11番では連続の池ポチャから連続ボギー。一時は2人に首位を明け渡したが「優勝を意識し、緊張していた。抜かされて吹っ切れた」。15番で3メートルのバーディーパットを沈めて首位タイ。17番での鈴木のボギーで単独トップに返り咲き「まさか、できるとは思っていなかった」優勝をつかんだ。

 父博昭さん(56)がコーチで勤務する沖縄・名護市のエナジックアカデミーに往復3時間かけて通い続けて腕を磨いた。アマ時代からキャディーを担当した父と臨んだ昨年の最終QT(予選会)最終日は、10番でサンドウエッジを置き忘れる遅延行為で2罰打。45位でツアー前半戦の出場は限定的だった。以後、父とのコンビを解消し、今季はハウスキャディーでプレー。試合を見守った博昭さんは「自分で考えて自立し、ハングリーさが出てきた」と急成長ぶりを認めた。

 昨年のプロテスト合格組の中ではプロ転向後、優勝一番乗り。「上の存在」と評する勝や同学年の畑岡と同じプロツアー優勝をゲットし「自分が初めて最初に優勝できてうれしい」。宮里藍さんが引退した翌年に同じ沖縄から新たなスター候補が優勝した。「いずれは世界、五輪に出たい」と掲げる新垣が「藍ちゃん2世」への第1歩を踏みだした。【藤中栄二】

 ◆新垣比菜(あらかき・ひな)1998年(平10)12月20日、沖縄・うるま市生まれ。宮里藍にあこがれ、父博昭さん(56)の手ほどきで8歳からゴルフを始める。具志川中-興南高。同高2年時の15年には、ツアー史上初となるアマで3週連続トップ10入りし、下部ツアーのラシンクニンジニアRKBレディースで、史上3人目のアマチュア優勝を飾った。16年に日本ジュニアも優勝。昨年7月にプロテストに合格した。好きな色はピンク。趣味は映画観賞。165センチ、56キロ。