9打差から出た畑岡奈紗(19=森ビル)が、歴史に残る追い上げで77年樋口久子以来となる日本人2人目のメジャー優勝へあと1歩と迫った。2イーグル、5バーディー、1ボギーで全米女子プロ最終日史上最少「64」。通算10アンダーの278で突入したプレーオフ(PO)こそメジャー2勝目を飾った昨季賞金女王の朴城■(24=韓国)に敗れたが、最新世界ランクは自己最高12位に上昇。前週米ツアー日本人最年少Vを飾った19歳はあらためて無限の可能性を示した。上原彩子(34)は60位、横峯さくら(32)は66位だった。

 畑岡が異次元のプレーで快挙に迫った。朴が69、首位から出た元世界ランク1位の柳簫然(韓国)が73と突風も吹く難条件に、POで戦った2人の実力者すら伸び悩んだ。畑岡は持ち味のショットに加え、合計22パットとグリーン上も抜群。「1日2イーグルも初めて。自分でもビックリする内容」と目を丸くした。

 7番でグリーンサイドのバンカーから「イメージ通り」にねじ込むチップインイーグル。11番パー5も残り223ヤードから3番ユーティリティーで「ほぼ完璧」と5メートルに2オンしてイーグルを奪った。元賞金女王の大山志保の相棒を長年務めてきたデイナ・ドリュー・キャディーは「すごかった。ただただ驚いて見ていた。僕がキャディーをしている今年の初めからだけでも、格段にショットの種類が増えている。バンカーショットもうまくなった。彼女の可能性、ガッツに驚かされる」と規格外の進化を証言。13年から米ツアーを主戦場とし、メジャーの最終日最終組も経験している上原は「この風の中で8アンダーは全くイメージできない」とうなった。

 最終組より1時間半ほど早く回り、クラブハウスリーダーとしてドキドキの時間を経験。「(3人で)私だけメジャーを取ったことがない。何も怖いものはない」とぶつかったPO1ホール目、2番目に打った自身のバーディートライだけが右に外れた。「さすがだと思いました」と2人の勝負強さに脱帽した一方で「(メジャーVが)本当に目の前にあった。確実に手が届くところにある。もう、やることは1つだけです」と手応えを深めた。

 初めてPOを戦った5月のキングズミル選手権から4試合後に初優勝。昨季140位だった賞金ランクは、93万2952ドル(約1億300万円)で2位につける。勢いは、とどまるところを知らない。

※■は火ヘンに玄