偉大な先輩に続いた。2年ぶり2度目の出場だった金谷拓実(20=東北福祉大2年)が7バーディー、2ボギーの65で回り、通算13アンダーの267で初優勝を飾った。この優勝で来年4月のマスターズ(ジョージア州)と7月の全英オープン(北アイルランド)の出場権を獲得。日本勢では10、11年大会を連覇した松山英樹以来2人目の快挙となった。

日本の次世代を担うトップアマ金谷のキャリアにまた1つ、輝かしいタイトルが刻まれた。「まだ実感が湧かないですね。夢のようです。マスターズは小さい頃からの目標。うれしいです」。夢見心地の20歳にラウンド直後、さらなるサプライズがあった。「松山さんから電話かかってきて。驚きました。『おめでとう。一緒にプレーできるのが楽しみ。待っている』と言っていただきました」と喜びをかみしめた。

2打差3位から出た最終ラウンドは8月のアジア大会でともに団体金メダルを勝ち取った中島、さらにインドのR・トーマスとのデッドヒート。14番からの3連続バーディーで抜け出した。最後は1・5メートルのパーパット。思い出したのは90年ぶりのアマチュアVに迫った昨年の日本オープン。最終日の16番、入れれば首位と並ぶ1メートル弱のパーパットを決められなかった。「昨年の日本オープンのこともある。何が起こるか分からないと自分に言い聞かせていた」。しっかり沈めて渾身(こんしん)のガッツポーズ。「とにかく夢中でした。やっと終わったと思って、少しウルッときました」と感情があふれた。

10年大会で優勝した松山は、11年マスターズで27位に入って日本人初のローアマを獲得。最高峰の舞台で結果を残し、猛烈なスピードで世界へと羽ばたいていった。「松山さんがアマチュアでマスターズに出た時のようなプレーがしたい。出るだけでなく、しっかり予選通過してローアマを取れるようにしたい」。同じ栄光の道を見据えている。

◆金谷拓実(かなや・たくみ)1998年(平10)5月23日、広島県生まれ。5歳からゴルフを始め、広島国際学院高では15年の日本アマを17歳51日の史上最年少で制した。同年の日本オープンは予選ラウンドを2位で通過し、11位で史上最年少ローアマ。東北福祉大へ進み、昨年日本オープンは2位。得意クラブはパター。3日付の世界アマチュアランク22位。172センチ、66キロ。