19年の国内女子ゴルフは、ダイキンオーキッドレディース(3月7日開幕、沖縄・琉球GC)で幕を開けます。日刊スポーツでは17日まで、テーマごとに今季の注目選手14人を紹介します。最初のテーマ「復活」の第3回は、渡辺彩香(25=大東建)。6年ぶりに賞金シード権を失い、今季は賞金ランク51~55位までに与えられる出場権(6月までに1回目リランキング)で迎えます。20年東京オリンピック(五輪)出場も見据え、15年11月以来、4年ぶりの復活優勝を狙っています。

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18年終盤で、長かったトンネルを抜けた感触があったようだ。「この1年ぐらい、ショットで苦しんで細かい部分に集中できなかった」と明かした渡辺は「終盤に自分のやっていることとショットがマッチしたところがあったし、良くなったと思います」。ツアー屈指の飛ばし屋と呼ばれ、豪快なショットが持ち味。不調にあえいだ最大の武器に光明がみえたことで、前向きになれた。アプローチ、パッティングなど幅広く意識した練習ができる気持ちの余裕が出てきた。

「全部オリンピックのために周りを見ずにやってきた」と振り返る昨季。世界ランク191位だった10月、米フロリダ州で19年米ツアー出場権をかけた2次QT(予選会)にも挑戦し、敗退した。東京五輪の出場権は世界ランク上位2人が条件となるため、少しでもランクアップするための米挑戦プランだったが、かなわなかった。QTのために終盤の約1カ月間、国内ツアーを離れたこともあり、賞金シードを喪失。世界ランクも215位まで下がった。

16年リオデジャネイロ五輪は世界ランク3番手で迎えた全米女子オープン最終日。失速しての38位フィニッシュで、上位2人に食い込めずに五輪出場を逃して涙を流した。今季は五輪のために着実に世界ランキングをアップさせる重要な1年になる。そのためには、6月のリランキングまでに好成績を残し、ツアー出場権を確保する必要がある。「しっかりガンガン上位にいくつもりでやりたい」とスタートダッシュを意識しつつ、1月下旬から米合宿にも取り組んだ。

「悪い時も支えてくれた人を笑顔にできる1年に。優勝するだけでなく、いろいろなことで笑顔にできたらと思いますね」。

4季ぶりの国内ツアー優勝、そして世界ランクアップ、さらにはメジャー大会での好成績…。来年の東京五輪につながるであろう活躍をイメージしながら、開幕戦に備える。【藤中栄二】

◆渡辺彩香(わたなべ・あやか)1993年(平5)9月19日、静岡・熱海市生まれ。6歳から競技開始。中学3年の08年日本ジュニア(12~14歳の部)で優勝。09年からナショナルチーム入り。埼玉栄高卒業の12年にプロテストに合格し、13年に賞金ランク46位に入ってシードを初奪取。14年のアクサレディースでツアー初優勝し、国内通算3勝を挙げる。172センチ。