国内女子ゴルフの今季注目選手14人を紹介する連載、最後のテーマは「賞金女王争い」です。

昨年11月の大王製紙エリエールレディースでプロ初優勝を達成した勝みなみ(20=明治安田生命)は、賞金ランク9位で初のシード権を獲得。黄金世代の中心として、賞金女王への期待が膨らみます。

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まだまだ強くなる-。昨年は、そんな予感を漂わせるシーズンだった。鹿児島高1年の14年4月に、15歳293日で史上最年少となるアマチュアのツアー優勝を達成。17年夏にプロテストに合格し、ツアー本格参戦1年目となった昨年11月に、プロ転向後初優勝を手にした。優勝した翌週、昨季最終戦となったツアーチャンピオンシップリコー杯でも優勝争いを繰り広げ、第3ラウンドまで2位。最終結果は5位だったが、20歳の勝が「勝つ感覚」をつかみつつあるのは間違いなさそうだ。

昨年はツアー37試合でトップ10入りが11回。うち優勝1回、2位2回、3位1回。優勝会見では、こんなことを明かしている。

「私はゾーンに入ると、左上から自分が見えるんです。(15歳の)熊本で優勝した時がそうでした。特に、ショットを打つ時にそうなる。パターの時はラインが見えるんです。でも、今日は見えなかった。あの時みたいに、自分が見えたら、もっと(上に)行くのかも知れないですね」

みなみちゃんらしい独特の言い回しで“幽体離脱”した時に、強さを発揮することを明かしたのだった。それは自身がもっと勝てるという、確信のようなものなのだろう。「それは、今後、さらに強くなれるということか?」との問いかけには、はっきりと、こう答えている。

「はい。行くと、思いますね」

秋に一時は不振に陥り、クラブハウスの片隅で泣いていた日もあった。母久美さん(51)は「苦しかった。練習が足りないのか。させすぎなのか。私が練習の計画を立てているから、自分を責め続けていました」と振り返っている。

昨年は苦しみも、喜びも味わった。それらは全て財産として、成長の糧になる。ツアー本格参戦2年目。初の賞金シード選手として臨む今季は、複数回優勝をするだけの力はある。

その先に、賞金女王も見えるはずだ。【益子浩一】

◆勝みなみ(かつ・みなみ)1998年(平10)7月1日、鹿児島市生まれ。名前は人気漫画「タッチ」のヒロイン浅倉南から。ゴルフは6歳で始めた。12、13年に全国中学生選手権で2連覇。鹿児島高進学前の14年ニュージーランドアマ選手権で日本人初優勝、進学後の同年4月にツアー優勝。翌15年の日本女子アマ優勝、日本女子オープンローアマ獲得。17年夏にプロテスト合格。157センチ。