<女子ゴルフ:センチュリー21レディース>◇28日◇最終日◇埼玉・石坂GC(6370ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

首位で出た稲見萌寧(もね=都築電気)が、10代ラスト大会でツアー初優勝を飾った。5バーディー、3ボギーの70で回り、通算9アンダー、207。女子ゴルフ界を席巻する黄金世代とプラチナ世代に挟まれた、谷間の世代からスター候補生が誕生。

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天国から“2人”が稲見の背中を押してくれた。稲見を誰よりも愛し、応援してくれた祖父の昭さんがプロテスト合格を見届けた後の昨年11月、胃がんで亡くなった。69歳だった。自宅で飼っていた愛犬マイロも同7月に死んでおり、悲しみを乗り越えてルーキーイヤーを過ごしてきた。

稲見は「集中して大会中に思い出すことはなかった」と話すが、会場で見届けた父了さんは「本当にびっくり。おじいちゃんに見せたかった。すごくかわいがっていたから」。父のポケットには、愛犬の遺骨がお守りとして入っていた。

1人っ子で家族の愛情を一身に受け育てられてきた。父は今でも毎試合ツアーに同行し、母直子さん(39)は、大会の日は毎日おにぎりを握って持たせてくれる。稲見は「家族にお世話になっているし、関係者、ファン、コーチのおかげ」と感謝を口にした。