ピンクのパターで自信を取り戻した。18番ホールで1メートルのウイニングパットを決めると、鈴木愛は控えめに右拳を小さく握り喜んだ。「入って良かったとホッとした。心から喜んだ一打でした」。首位タイから出て5バーディー、2ボギーの69で回り、2打差をつけてフィニッシュした。

パットの名手が苦しんだ。最近1カ月は持ち味が絶不調。「カップが避けていくんじゃないかってくらい」とメンタルもボロボロだった。大会前は15本の候補から直感で新パターを選んだ。手先の感覚を重視するためで小さいヘッドが好みだが、今回は「初めてくらい」という大きなヘッド。自身のセオリーを変えたがこれが好感触だった。5番は5メートル、7番は7メートルを沈めてバーディーを奪った。

これで通算13勝目、生涯獲得賞金は史上21人目の6億円を突破した。「気持ち的に諦めている部分が大きかった」という賞金ランクも6位から3位に浮上。首位申ジエまで2173万差となった。今週は香川県の祖母宅を訪れリフレッシュに充て、次戦は日本女子プロ選手権を予定する。「久しぶりに1週間通して良いゴルフができた。また頑張りたい」。2年ぶりの賞金女王に向け、北の大地で弾みをつけた。【西塚祐司】