8位から出たAIG全英女子オープンを制した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、4バーディー、2ボギーの70で回り、通算5アンダー、139で20位と順位を下げた。苦しい流れの中、9番ではティーショットを左に曲げギャラリーに当たったが、謝罪し、サインボールをその場で渡す「神対応」をみせた。

トップから出た申ジエ(韓国)が68で回り、通算13アンダーで首位を守った。

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「ファー」。渋野が、9番パー4のティーショットを打つと大きな声が響いた。打球はぐんぐん左に曲がり林方向へ。ロープの向こう側の男性の背中に当たってラフに落ちた。ヒヤッとさせたものの、落下地点に行き、第2打を打ち終わるとすぐに、くるりと反転、ギャラリーの方に駆け寄った。深々と頭を下げ、打球が当たったファンにサインボールを手渡し、謝罪した。

幸い当たった男性は、大事には至らず、サインボールを受け取ると、「ありがとう。頑張って」と満面の笑み。全英女王の「神対応」にギャラリーも「神対応」で答え、周囲はほっこりとした雰囲気に包まれ、拍手が沸き起こった。「ケガをされてなくて良かった。かなり殺人ボールだったのに、全然、怒りもせずだったので、申し訳ないなと」と恐縮しきりだった。

「久しぶりに楽しかった」と話した第1日から一転、我慢のゴルフだったが、苦しい流れでも手をこまねいてばかりではなかった。後半の10番もボギーとして崩れかけたが、ラウンド中に、「上半身で打ちにいっている」と修正ポイントを見つけ改善。プレーでも対応力をみせ、15番パー5で2オンし、ようやくバーディーを奪うと、最終18番もバーディーフィニッシュと最終日につなげた。「(ショットは)最後の方で修正できたので良かった」と納得の表情を浮かべた。

首位とは8打差と離された。「かなりビッグスコアを残さないと無理。悔いの残らないようにしっかり攻めたい」。最終日も、神がかり的なプレーをみせる。【松末守司】