プロ6年目の柏原明日架(23=富士通)が悪夢を振り払いツアー初優勝を飾った。4位から7バーディー、3ボギーの68で回り、通算10アンダー、206。

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柏原のそばには、いつも母友美さん(47)がいた。ほぼ毎試合、観戦に訪れ、車の運転、食事面でのサポートなど陰ながら支えてきた。勝てない日々、親としてできることは、心を落ち着かせられる場を作ること。母は「家ではゴルフの話をしないようにしていた。リラックスしてほしかったから」と話す。

「一番つらかったと」と柏原が話す昨年。母と意見をぶつけ合うこともあった。オフに2人で話し合い「楽しむ」をテーマに掲げた。「優勝」の2文字を追うがゆえ失いかけていた競技への“初心”を思い出し、再び前を向いた。母は「考え方が変わった。気持ちのコントロールができるようになった。女子オープンのあの時(=V逸)は衝撃だったが、これで少しは消えてくれるかな」と柔らかな笑顔を浮かべた。

優勝スピーチ。「支えてくれた人、コーチとか、両親に恩返しができて良かった」と言葉を詰まらせながら話す娘。遠くから見つめる母の目からも、涙があふれていた。