女子ゴルフの国内最終戦、LPGAツアー選手権リコー杯は28日、宮崎CCで開幕する。プロ1年目で米メジャーの全英女子オープンを制し、国内ツアーも4勝と大飛躍を遂げた渋野日向子(21=RSK山陽放送)。逆転賞金女王がかかる一戦を前にした27日、公式会見であこがれの存在の鈴木愛(25=セールスフォース)への思いを語った。

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大会前日の公式会見で鈴木のことを聞かれた渋野は「まだ私のあこがれ。全然届かない選手。全く技術とかレベルが違う、まだまだ遠い存在」と話した。

今年3月、プロデビュー戦となったヨコハマタイヤ・プロギア・レディースで、渋野は最終日最終組で鈴木と優勝を争った。通算9アンダーで優勝した鈴木に対し、渋野は通算3アンダーの6位タイと力の差をまざまざと見せつけられた。初優勝したワールド・サロンパス・カップでは、初日に「初めて話し掛けられました」と無邪気に喜んでいた。優勝した全英女子オープン出発前には、海外試合でのアドバイスをもらった。

そんな鈴木と初めて優勝を争って勝ったのが、前週の大王製紙エリエール・レディースだった。全英と国内ツアーで4勝していたが、それまでの優勝とは意味合いが違った。青木翔コーチは「3月にボコボコにやられたが、今回は食らい付いて、食らい付いて勝った。前の優勝とは違い、初めて勝ちに行って勝った。1つ壁を越えた」と渋野の成長を認めた。

昨年の今ごろは、下部大会のステップアップツアーでも結果が出ずに苦しんでいた。プロ1年目となる今年最初のインスタグラムに、子どものころ遊園地の乗り物で空を飛ぶ写真を載せた。「原点に戻って楽しむ!」「空を飛ぶように飛躍する!」との思いが、その写真からはあふれていた。

それから1年、渋野は飛躍的な進化を遂げた。惨敗の3月と今を比べて「3月より(鈴木に)1ミリは近づけたかな。エリエールでは気持ちで頑張って勝つことができた。そこで、ちょっと近づけたと思います」と話した。

鈴木との差は1511万円。優勝すれば逆転は可能だが「賞金女王への思いは100のうち10くらい。ねらって勝つのが強い選手だと思うけど、私は特に意識していない」と無欲を強調する。1年の集大成となる最終戦。全英女子オープンを制したときのように、無欲に戻ってタイトルに挑戦する。【桝田朗】