▽2019年(平31)大会(3月15~17日、高知・土佐CC)

17年賞金女王の鈴木愛(25=セールスフォース)が、地元四国で節目のツアー通算10勝目を挙げた。先行逃げ切りが勝ちパターンだが、3位からの逆転優勝。この年の終盤に賞金女王を争ったプロ初戦の渋野日向子(21=サントリー)と最終日には同組で優勝を争い、力の差を見せつけた。

2打差で首位を追いかける鈴木は、11番パー4で、5メートルのフックラインを沈め首位に並んだ。強い突風で、次々と優勝を争う選手が脱落していく中、15番パー5ではグリーンエッジから6メートル、最終18番パー4でも2メートルのバーディーパットを入れた。2位と4打差でホールアウトし、最終組を待たずともツアー10勝目を確信した。

「いつもここで泣いているイメージがある。節目の優勝が地元四国で良かった。最後まで周りのスコアは見ていませんでした」

この大会は12年以降、7年連続でPO決着だった。鈴木も15年李知姫、18年アン・ソンジュと2度も韓国勢に敗れた。16年は優勝したイ・ボミに1打及ばず4位。隣の徳島で生まれ育ちながら、四国での優勝には縁がなかった。前週の開幕戦は予選落ち。「自分のやっていることが合っているのか分からなくて、トイレに駆け込んで泣いていました」と明かした。

優勝争いで敗れた選手たちの中に、プロ2戦目でこの日同組で回った渋野がいた。第2日に69を出し、首位と3打差、鈴木とは1打差の5位で最終日を迎えていた。しかし、初めての優勝争いで「鈴木にボコボコにやられた」と渋野の青木翔コーチは振り返った。

渋野は第2日終了後に「鈴木愛さんとか自分より上手な人がやっている。私もやらないといけない」と最後まで居残り練習を続けていた。「最後はパターの勝負」と初Vへ挑戦も、力の差を実感。そこから上を目指す意識と、鈴木という大きな目標が、渋野の19年の大活躍につながったと言える。鈴木愛は、渋野の存在を初めて意識し、渋野は「はるか上の存在」を身をもって感じた。鈴木愛と渋野日向子。2人のライバル関係は、この大会から始まった。

■過去5年の優勝者

15年 李知姫 -9

16年 イ・ボミ -8

17年 金美貞 -7

18年 アン・ソンジュ -11

19年 鈴木愛 -9