ツアー開幕の見通しが立たない中、女子プロゴルファーはシーズンに向けた調整を続ける。日刊スポーツでは主要クラブメーカーの主な契約プロや、使用予定クラブを、クラブ調整のクラフトマン、プロ担当の目から随時紹介。「クラブのプロが見たプロ」として、2020年シーズンの目標や注目ポイントを探る。第3回はダンロップ契約の小祝さくら(22=ニトリ)。

   ◇   ◇   ◇

焦り、高ぶりを感じさせない。小祝は一定のスイングリズムで淡々と結果を重ねる。18年に0勝ながら賞金ランク8位で初シード。昨季は待望のツアー初優勝を飾り同8位。黄金世代で最も安定感を見せる。担当のクラフトマン(CM)は「ヘッドの座りの良さ、方向性の取りやすさと捕まりの良さをクラブに求め、自分に合うものが見つかれば、ずっと使い続ける。スイングはしっかり振り切り、ブレがない」と話した。

スイング、ショットに欠点らしい欠点がなく、次に目指すのは全体的な底上げだ。ドライバーはスリクソンZ785。昨季は部門別(平均飛距離)で15位、244・9ヤードだったものを1桁順位へ。スリクソンZ F85のウッド系、スリクソンZ585のアイアン、ウエッジのRTX-3とシャフトをスチールに変更して、距離感のばらつきが減った。パーオン率の上昇、ショートゲームの精度アップでバーディーチャンスを増やす-。“勝利のシナリオ”の完成度をどんどん上げたい。

同じ黄金世代の渋野、勝、河本、新垣らとゴルフのスタイルも違えば、人柄も違う。CMいわく「結構天然です。ほわっとした感じ。でも、芯は強い。練習を休んだことがなく、決めた事を貫く。1つの練習を続けられる強さがある」。

小祝は「運動神経がない」と笑って自己分析する。かつて「ゴルフは運動神経じゃない」と言ったのは通算50勝の不動裕理。再現性、それを実現する忍耐強さ。レジェンドと同じ資質の持ち主かもしれない。【加藤裕一】

◆小祝(こいわい)さくら 1998年(平10)4月15日、北海道・北広島市生まれ。ゴルフは8歳から。アマチュアでは大曲中1年の11年日刊アマ北海道大会優勝、飛鳥未来高1年の14年北海道女子アマ優勝、同年日本女子アマでベスト32。16年に女子ツアーのニッポンハムレディースで8位。17年プロテスト合格。昨季のサマンサタバサレディースでツアー初優勝。師匠は辻村明志氏。158センチ、58キロ。