2020年の男女ゴルフツアーが新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕戦からストップしている。ここまで中止、延期となった各大会の名場面を振り返ります。

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▽2017年(平29)大会(6月2~4日、新潟・ヨネックスCC)

青木瀬令奈がプロ7年目で涙のツアー初優勝を果たした。最終日は首位と4打差13位から出て、ボギーなし、6バーディーの66で回って通算4アンダーと逆転した。身長153センチと小柄ながら3年がかりで飛距離を伸ばし弱点を克服した。

最終18番、2・5メートルのバーディーパットを沈めて、右手を強く握った。通算4アンダーでホールアウトしたが、首位と4打差13位スタートで最終組の5組前とあってプレーオフに備え、パット練習場で歓喜の瞬間を迎えた。

前橋市で同居する祖父勝男さん、祖母路子さん、伯母エリさんに見守られ、優勝スピーチ。「優勝を待っていてくれた家族の前で…うれしい」と両目に涙をため、声を詰まらせた。

プロ転向時から小技、技術に定評はあり、15年4月からコンビを組む、キャディー兼任の大西翔太コーチと課題を克服してきた。210ヤード弱だった平均飛距離を下半身強化によって240ヤードへ。「3年前まで飛距離さえ伸びれば、と言われてきた。自分のゴルフを変えてくれた」という。 第1日が雷雲接近と強風の悪天候で中止になった。54ホール競技から、36ホール競技へ。短期決戦の最終日、得意のパットもさえ、6バーディーを量産して、一気にまくった。「8アンダーが出るような良いゴルフだった」。勝負どころで、手応え十分のセレナーデ(瀬令奈という名前の由来)を奏でてみせた。

翌週はそのシーズン限りでの引退を表明した宮里藍が出場するサントリー・レディースだった。「藍さんと回れるかも、と思って今週は優勝したかった」。結果的に同大会の予選ラウンドは宮里の1組前。憧れの人を背中で感じてプレーした。

■過去5年の優勝者

15年 大山志保 -10

16年 P・チュティチャイ -10

17年 青木瀬令奈 -4

18年 大山志保 -10

19年 上田桃子 -13