「ゴルフ流 Education」の第2弾は、18年まで松山英樹プロのエースキャディーを務めた進藤大典(だいすけ)氏(39)の登場です。現在はテレビ解説に加え、ジュニア・クリニックなどにも携わり、私生活では2児(中2、小3)の父という“現役子育て世代”。ジュニアにゴルフやスポーツを教えたい、一緒に楽しみたいという方々へ、ヒントになりそうなメッセージです。

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子どもたちがスポーツを始める前に、その競技に親しむ、興味を持つという段階がありますよね。ゴルフの場合、例えばテレビでトーナメント中継を見た時、詳しいルールがわからなくても「最終的にカップにボールを入れればいい」わけですから、子どもにも難しくないでしょう。また、ドライバーは打てなくても、パターなら屋内のカーペット上でゲーム感覚で遊ぶことができます。まずはきっかけですね。

同時に「あこがれ」が大きなモチベーションになります。僕は世代的にジャンボ(尾崎将司)さん、丸山茂樹さん、田中秀道さんらにあこがれ、「頑張っていたら、いつか会えるかもしれない」の思いでした。実際に高校3年時に初めてお会いでき、感激しました。その丸山さんや片山晋呉さんも、ジュニアの時に「プロの試合で優勝したら、高級車や高額賞金がもらえるなんてすごい」と、気持ちを高めていたと聞きます。今は(松山)英樹も多くのジュニアに夢やあこがれを与えています。

一方で、最初からプロになることだけを目標にした“英才教育”がいいとは限らないと思います。ゴルフを始める時、もちろん基本は大事ですが、のびのびと楽しむことも大切。個人的にはグリップなど基本を一つ教えたら、あとは子どものやりたいようにやらせる時期があっていい。本人に試行錯誤させて、考えさせて、想像力を使わせる。その中で「芯に当たった」ショットが出たら、その快感は本人にとって忘れられないものになるでしょう。

教科書通りに一から十まですべて教えると、子どもは「やらされている感」が強くなるかもしれない。教えてもらうこと、与えられることが当たり前になってしまうかも…。子どもたちの将来を考えるなら、「自分で考えること」を教えることも必要だと思います。(進藤大典)

◆進藤大典(しんどう・だいすけ)1980年(昭55)生まれ、京都府出身。中3でゴルフを始め、明徳義塾高(高知)-東北福祉大。同大で同期だった宮里優作に誘われてキャディーを始め、03年プロキャディーに。宮里や谷原秀人、片山晋呉らのバッグを担ぐ。13年から18年まで松山英樹と専属契約、13年日本ツアー賞金王、その後の米ツアー5勝に貢献。現在は解説やイベントの事業が中心。4月に「ゴルフキャディ 世界で闘うために…」(主婦の友社)出版。