イケメンの関藤直熙(せきとう・なおき、22=エブリイ)が“国内初優勝”を飾った。ツアー外競技ながら、今年初めて国内で行われた男子の試合で、コースレコードを更新する自己タイの61。首位と3打差の10位で出て9バーディー、ボギーなしで回り、通算14アンダー、126とし、混戦を制した。アジアンツアー下部のアジアディベロップメントツアー(ADT)でもまれ、昨年は日本人初の賞金王。異色の経験の持ち主が、若さを生かした爆発力で注目の試合を制した。

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「SUPER HERO」と胸に書かれたシャツを着た無名の男は、1ホールごとに存在感を増した。前半4つ目のバーディーとなった9番から、関藤が5連続バーディー。一気に首位争いに加わると、その後は2つ後の組で回る和田とのマッチレースとなった。14番から3ホールをパーでしのぐと、17番パー4の第2打を1・5メートルにピタリとつけた。通算14アンダーに伸ばし、和田がスコアを伸ばせずホールアウトしたのを見届け、優勝を飾った。

「優勝するなんて全く思っていなかった。このメンバーで優勝できて自信になる」。男子では今年初めて国内で行われた注目の試合を制し、文字通り「スーパーヒーロー」になった。目立つ緑色のウエア。「(色が好きで)2日間のどちらかで着ようと思っていた」と、深い意味がないことを申し訳なさそうに話した。

表彰式では男子ツアーを管轄する日本ゴルフツアー機構の青木功会長から「君の体調管理が一番良かったということ」と、新型コロナウイルスの影響を見せなかったことを評価された。「2日間だから若い人が勝った」と爆発力も認められた。18年にプロテストに合格後、昨年まではADTが主戦場。タクシーが何時間も来ず、スタート10分前に到着、猛ダッシュでラウンド開始などの過酷な環境で昨年は賞金王。さわやかな笑顔の裏で苦労してきた。

今大会の1カ月前も、しまなみ海道をサイクリング中に交通事故に遭い、左手の握力はわずか「24」で臨んでいた。出身は広島で、同じ中国地方出身の渋野日向子とも交流があり「世界で活躍していてすごい。いつか追いつきたい」と刺激を受けてきた。今季は日本とレギュラーのアジアンツアーに参戦予定。「日本とアジア両方で優勝したい」。関藤の白い歯が一段と輝いていた。【高田文太】