「ゴルフ流 Education」の第2弾は、18年まで松山英樹プロのエースキャディーを務めた進藤大典(だいすけ)氏(40)の登場です。現在はテレビ解説に加え、ジュニア・クリニックなどにも携わり、私生活では2児(中2、小3)の父という“現役子育て世代”。ジュニアにゴルフやスポーツを教えたい、一緒に楽しみたいという方々へ、ヒントになりそうなメッセージです。

自分の子も含めてジュニア世代に対し、まず僕が伝えることは「他人に迷惑を掛けないこと。他人を悪い気持ちにさせないこと」。これについては悪いことは悪いと厳しく言います。同時に「1回の失敗はいいけれど、同じ失敗を繰り返さないよう、学ぼう」という姿勢で接しています。

その意味で、「あえて失敗をちゃんと見届けてあげる」という場面があります。例えばゴルフで林やバンカーからの脱出。構え方や素振りを見て「あの打ち方では無理だな」と思っても、止めない時があります。本人の決断で失敗して、そこから学んでほしい時です。悔しい思いをして、同じ失敗を繰り返さないためにはどうしたらいいか、考えてもらいたいからです。

本来なら「こう打った方がいいよ」と指導したいところを我慢します。そして「失敗しても決して怒らない」と、あらかじめ心に決めて見守ります。

子どもは「じゃあ、どう打てばよかったの?」と尋ねてくるかもしれません。そこで相談に乗るというよりは、逆に子どもに相談してみます。「あの場面はどう考えたらいいのかな?」「どうやって打ったら、狙い通りの球になるかな?」などと問いかけ、本人に考えてもらう。一方的に教えられる受け身ではなく、能動的な学びにつながればいいと思います。

大人が引っ張っていくというより、導いてあげるというスタンスです。

僕もジュニア時代に多くのレッスン本を読み、いろんな方の指導を受けました。大人の話をたくさん聞くことは大事です。ただ、その話について自分なりに考え、処理していくことがもっと大事。いくら有名なコーチの理論でも、100人中100人全員に当てはまるわけではありません。自分に合うもの、合わないものを自分で見極める力を養ってほしいです。(進藤大典)

◆進藤大典(しんどう・だいすけ)1980年(昭55)生まれ、京都府出身。中3でゴルフを始め、明徳義塾高(高知)-東北福祉大。同大で同期だった宮里優作に誘われてキャディーを始め、03年プロキャディーに。宮里や谷原秀人、片山晋呉らのバッグを担ぐ。13年から18年まで松山英樹と専属契約、13年日本ツアー賞金王、その後の米ツアー5勝に貢献。現在は解説やイベントの事業が中心。4月に「ゴルフキャディ 世界で闘うために…」(主婦の友社)出版。