「女ウッズ」が単独首位を守り、史上最速の生涯獲得賞金5000万円突破、10代では3人目の2戦連続優勝に王手をかけた。ルーキーの笹生優花(19=ICTSI)は5バーディー、1ボギーの68で回り、通算12アンダー、204。タイガー・ウッズと同じ赤シャツ、黒ズボンの“勝負服”を今大会初披露すると、前半でバーディーを量産した。後半は我慢の展開で全てパーセーブ。2位小祝さくら(22)に1打差をつけ、勝負の最終日を迎える。

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赤と黒のウッズ・スタイルで、首位を譲るわけにはいかなかった。笹生は最終18番パー4のピンチを、スーパーショットで切り抜けた。林の中に打ち込んだ第2打。ピンまで165ヤードほどのラフから、木の間を狙いすまし、低い弾道でグリーンに乗せた。小祝が1打差の11アンダーまで迫って先にホールアウト。「ボギっちゃうところを、ギリギリパーでいけた」と、起死回生の一打で単独首位を守った。

前半はバーディーを量産した。2番パー4で5メートルのパットを沈めて最初のバーディー。4番パー3こそティーショットでグリーンを外してボギーとしたが、続く5番パー4で、すぐに取り返した。7番からは3連続バーディー。だがラウンド前の練習で「右、左にいっちゃって修正できない」と、ショットに安定感を欠くと自覚していた。雨と不調の中で、伸ばしやすい前半は攻め、疲労のたまった後半は耐える、最終的なイメージをスタート前に持って臨んでいた。

そんなゴルフIQの高さとは対照的に、この日もホールアウト後は天真らんまんだった。赤と黒の服装には「たまたまだったんですって、もう」と大笑いした。それでもウッズと関連づけられることは「思いましたよ」と想定済み。加えて「赤と黒がセットで送られてくるので『着ろ』ってことなのかと(笑い)」と、ウエアのメーカーにもウッズ・スタイルが浸透していると明かした。

連日恒例となっている前夜の食事の“グルメリポート”も「からあげ! 何て言うんでしたっけ…。そうザンギ! しょうゆみたいで酸っぱい感じのソースにつけて食べました」と、一段とノリノリで話した。さらに、フィリピン人の母の手料理は「アドボとシニガンが好きです」と、きょとんとする報道陣を置き去りに、料理を解説した。従来の記録を大幅に更新する、生涯獲得賞金5000万円突破に王手をかけてもマイペース。そんな性格こそ、ウッズに最も近い強みかもしれない。【高田文太】

▽吉本ひかる(2位スタートも通算8アンダーで3位後退)「明日(最終ラウンド)は天気があんまり良くなさそうなので、しっかりと耐えながら頑張りたい」

◆笹生が今大会優勝で達成する記録 笹生は今季2戦(5位と優勝)で2304万円を獲得しており、優勝賞金3600万円が加算されると、生涯獲得賞金は5904万円。今大会が賞金総額2億円と、例年の2倍となった幸運もあるが、国内女子ツアーで過去最速の賞金5000万円突破は申ジエと畑岡奈紗の8試合で、笹生が3試合で超えれば記録を大幅に更新する。

1988年のツアー制施行後では、04、05年の宮里藍、17年の畑岡に次いで、3人目となる10代の2戦連続優勝。宮里は10代で2度達成し、最初に2連勝した04年は19歳0カ月1日。畑岡は18歳8カ月18日で達成。笹生の19歳2カ月10日は年少3位になる。初優勝から2戦連続優勝となると西田智慧子、表純子、畑岡に次いで4人目となる。

◆平均年齢未成年の最終日最終組 黄金世代の22歳小祝が最年長で19歳笹生、18歳六車で平均年齢は19・67歳。今季開幕戦アース・モンダミン・カップでの21歳田中、20歳古江、18歳西郷、さらに昨年6月のリゾートトラスト・レディースでの20歳の渋野と河本、19歳の古江も平均19・67歳。