2009、10年以来、3度目の優勝を目指す石川遼(28=CASIO)がこの日ベストスコアの65をマークし、72位から6位に順位を一気に上げた。予選落ち圏内の崖っぷちから、1イーグル、5バーディー、1ボギーと6つ伸ばして通算3アンダー、139。一気に優勝圏内に食い込んできた。第1ラウンド残りと第2ラウンドを実施し、永松宏之、市原弘大、小田孔明が6アンダーで首位に並んだ。

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勝負師のオーラを漂わせて石川が最後のバーディーパットをねじ込んだ。最終18番パー4。第2打をピン手前約3メートルにつけると、すさまじい集中力でピンをにらみつけ、パターを一閃(いっせん)。強い意思が乗り移ったように、ボールはカップに吸い込まれた。

「昨日に比べると、ばたつきなくやれた。自分のゲームプランをしっかり立ててプレーすることに集中できた」。第1日は74をたたき、予選落ちの崖っぷちに追い込まれたが、第2日はまるで別人。3番パー5では8メートルのイーグルパットをねじ込むなど、昨年のこの大会最終日にマークした大会自己ベスト64にあと1つと迫る会心のゴルフ。一気に優勝圏内に浮上した。

3月に契約した田中剛コーチと、事前にゲームプランをしっかり立てて試合に臨んでいる。統計学的データ分析の専門家でもある同コーチと2人で開幕前の2日に、4日間のコース攻略プランを作成した。スイング改造と並行し、試合で実戦を重ねながらのレベルアップを目指している。

18番もバーディーを取るところから逆算した。3番ウッドでのティーショット、5番アイアンでのアプローチと、まさにプラン通りにスコアを伸ばした。それでも「スイングもプランも、完成にはほど遠い。試合を通して完成していくことが必要」と石川は言う。

新たなルーティンも加わった。ショットを打つ前に、打球方向にピースサインをつくり、照準を定める。「あまりにも打つときのアドレスが定まらなかったから、昨日から始めた。決めたアドレスをしっかり取って打ち切る、自分へのサインです」と明かした。そのまま“Vサイン”となりそうな勢いだ。

決勝ラウンドでは10年以来、大会3度目の優勝へ挑む。大好きだという難コースの富士桜CC。「すごく楽しみな位置で週末を迎えられ、本当にワクワクしている。しっかりゲームプランを立てて、自分のプレーを当てはめていくことを楽しみにしている」と目を輝かせた。次戦は9月17日開幕の全米オープン選手権。Vで勢いに乗り、メジャーへつなげたい。【桝田朗】