男子ゴルフ界にアマチュア旋風が巻き起こった。通算5アンダーの135に伸ばした河本力(20=日体大)が首位に浮上。4人が並んだ同4アンダーの2位にも、杉原大河(20=東北福祉大)と桂川有人(22=日大)が入り、上位5人中、アマチュアが3人を占めた。男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)が発足した99年以降、ツアー各日でトップ5にアマチュアが3人入るのは初。1927年(昭2)第1回の赤星六郎以来、93年ぶり2人目のアマチュア優勝が現実味を帯びてきた。

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まるで決勝ラウンドの予行演習のように、河本は10番スタートながら最終組で回り、堂々の単独首位でホールアウトした。12番でボギーが先行したが、13、14番で連続バーディーを奪う“倍返し”。612ヤードの最長18番パー5は、規格外のパワーから2番アイアンの第2打でグリーンをオーバーしたがご愛嬌(あいきょう)。リカバリーしてバーディーを奪った。「距離は長いと感じなかった」とプロも驚く飛距離が生きた。

「黄金世代」の一人として、今季から米ツアーを主戦場とする河本結を姉に持つ。姉が国内ツアー初優勝を果たした際は、キャディーも務めるなど仲は良い。第1日を2位で終えると、LINE(ライン)で「楽しんでね」と励まされた。身近な分だけ刺激も受け、今は「早くプロになって米国に行きたい」という。9月の全米オープンでは、肉体改造で筋骨隆々となったデシャンボーが初優勝を飾り「今は米国もパワーゴルフの流れ」と、目指してきたスタイルが間違いでなかったと確信。高校時代に30キロの増量で90キロ超となり、ドライバーは平均320~330ヤード。日本人離れしたパワーを見せつけている。

そんな河本と同じ四国出身で同学年、小学生時代から競い合ってきた杉原は1差で追走する。互いが「親友」と呼び合うが、杉原は「飛距離が20ヤードぐらい違うから、一緒に練習ラウンドしたくない」と苦笑い。もちろん仲が良いからこその冗談で「一緒にいい順位で戦えているのは刺激にもなる」と、この日は、途中経過を伝えるリーダーボードを見ては発奮材料にした。

今大会初出場の2人とは対照的に、1学年上の桂川は、すでに優勝争いも経験している。18年には、この日と同様に第2日を終えて上位。しかも単独首位だった。そんな桂川は、今年の大学生の飛躍について「アマチュアは基本的にギャラリーがいない。みんな普段と同じような感じでプレーできていると思う」と語った。新型コロナウイルスの影響で無観客開催となったが、プロよりも違和感を覚えていないと分析した。

全120人がエントリーした今大会は、18人のアマチュアが出場し、うち8人が予選を通過した。河本は「自分に日本オープンで勝てる実力があるかは分からない」と、残る2日間が一筋縄ではないことは理解している。だが首位と2位にアマチュア3人は、現行のツアー制度となった99年以降では初。かつてない高確率で、93年ぶりにアマチュアが頂点に立つ可能性が高まってきた。【高田文太】

◆ツアー各日のトップ5にアマチュア複数人 99年のJGTO発足以降、同時に2人がトップ5入りした例が2度ある。最初は06年日本オープン第2日、2位タイに金庚泰とウォンジョン・リーが入っている。もう1例は13年関西オープン第1日、大堀裕次郎と佐藤大平が同時に5位。3人同時のトップ5入りは初。

▽イーブンで回り、2位となった今平 ショットがブレていた。ただ、悪い中でも耐えられた。(決勝は)プロの意地を見せたい。

▽7バーディー、1ボギーでベストスコア64をマークして2位浮上の谷原 こういうシビアなコースセッティングの方がいい。明日(第3ラウンド)は寒くて雨予報で、球も飛ばないと思うので、しっかりとマネジメントして回りたい。