昨季限りでツアープロを一区切りし、現在は多数の女子プロを指導する佐伯三貴(36)が、「佐伯三貴のスリーポイント解説」と題し、日刊スポーツで随時、女子ゴルフを解説することになった。注目選手のポイントを3カ所挙げるなど、多角的に解説。第1回の今回は横峯さくら、渋野日向子、イ・ボミの今大会注目3選手について解説した。

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第1回の「スリーポイント」は、今大会注目の(1)横峯選手(2)渋野選手(3)イ・ボミ選手です。まず横峯選手ですが、今回の挑戦はすごいことだし、尊敬します。ゴルフが心から好きで、若い時からハーフターンの時に何を食べるか、食事なども徹底していた彼女らしいです。普通は、おなかに子どもがいると恐怖心もあるし、どこまで振っていいのか不安もある。でも、振り加減とかも分かっているから、普通にプレーできる。プロ意識の高さがこの挑戦を可能にしたと思います。

JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の産休制度はずっと厳しめで、妊娠したら一休みという考えが当たり前に浸透しています。お子さんを預ける施設などが、米国は充実していると聞きます。バックアップ体制が整えば、妊娠中や同組で回った若林舞衣子選手など、ママさんのプレーヤーが増えていくと思います。

渋野選手は、最近は「悔しい」「情けない」など悲観的な発言が目立ちます。私は指導の際、マイナスな言葉を言うと注意します。プレーは言葉に引っ張られるので。技術は上の上。それを生かすも殺すも考え次第です。

バーディー数が増えたのは、いい傾向です。もっと自分のゴルフを自分で見てほしい。昨年優勝した、AIG全英女子オープンの時などは、人は人、自分は自分と、他の人のゴルフを見ていなかったはず。今は自分の目標、ビジョンが見えなくなっている印象です。もう少し自分を信じてあげれば、自然と良くなっていくと思います。

イ・ボミ選手は来日後2週間の自主隔離開けで、調整の難しさはあります。ただ、実力はあるので、予選落ちがない今大会で感覚をつかみ、来週以降に調子を上げてくると思います。今は32歳。30歳を越えると、疲れやすくもなり、思うようなプレーができないこともあります。どうしても、昔の自分と比べてしまいがちになります。30歳の分岐点をどう受け止めるか。それも今後は大事になってくると思います。(プロゴルファー)

◆佐伯三貴(さいき・みき)1984年(昭59)9月22日、広島県生まれ。01、03~06年にJGAナショナルチーム入り。東北福祉大3年時の07年1月にプロ転向。同年4月のフジサンケイ・レディースでツアー初優勝。ツアー通算7勝。昨季限りでツアープロを一区切り。163センチ、63キロ。