池田勇太(34=フリー)が、2イーグル、4バーディー、2ボギーの64で回り、6アンダーで首位に立った。5アンダーで2位の谷原秀人に1打差、4アンダーで3位の市原弘大、杉山知靖ら5人に2打差をつけた。

2ホールあるパー5で、ともにイーグルを奪った。第2打を、6番は残り210ヤードから2メートル、17番は残り200ヤードから3・5メートルにつけた。ショットが好調で、連続ボギー直後の14番パー4の第2打は1メートルにピタリとつけてバーディーとし、16番のバーディー、17番のイーグルにつなげた。スコアについては「大満足ですね。最終戦にふさわしいというか、本当にいいゴルフができた。ゴルフの調子は、試合を重ねるごとに良くなっている気がしていたので、あまり不安もなくやれた」と、納得の表情で振り返った。

今大会は30人しか出場権がなく、昨年の優勝者、今年行われた国内男子ツアー5試合の中で、各大会の3位タイまでの選手が優先的に出場できる。池田は今年は、前戦のダンロップ・フェニックス8位が最高順位。その他、出場30人に達するまでの今年の獲得賞金上位という、最後の枠で滑り込んだ形だ。「日本シリーズに今年は出られないかなと最初は思っていた。VISAでちょっとチャンスが出て、逃して(14位となった11月12~15日の三井住友VISA太平洋マスターズで、第3ラウンドで7位に浮上も最終ラウンドで73と落として14位)。また(ダンロップ)フェニックスで、最終日の18番でバーディーパットを入れられたおかげで出られたと思う。それぐらい、一つ一つ何とかクリアしながら、ここに帰ってくることができたのがうれしかった。そういう気持ちを持って臨めているので、また、いつもとは違う雰囲気かなと思う」と、今季を振り返りながら話した。

池田は昨年まで通算21勝、歴代2位タイの11年連続ツアー優勝を果たしている。「ジャンボ」こと尾崎将司の15年連続に次ぐ記録で、青木功、片山晋呉と並んでいる。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今大会で6試合目。記録継続には困難な状況だが「すごく、それは思うものもあるし、こういう試合が少ない中でも、何とか自分が優勝する姿を応援してくださる方に見せたいし、そういうことで結果的に、そこ(連続優勝記録)にまたつながっていくと、僕としてはありがたいなと思いますね」と、静かに思いを打ち明けた。

選手会副会長としても、ツアー開催に尽力してきた。過去に会長も務めたが、今年は一緒に練習ラウンドを行うなど、目をかけている時松隆光(27)を全面的にサポート。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、1月のシンガポールオープンの後は、9月のフジサンケイ・クラシックまで試合が開催されなかったが「こういう状況が、もしかしたら、この先もあるかもしれない、という時に、どうしたらいいのかを、今、このタイミングで考えていかないと、毎年こういうことが起きて、また同じことの繰り返しでは意味がない。それを考えてきた」と、多い日は1日6回もの会議を重ね、練習できる時間も限られた。それでも「(自分が)好きでやっているから、いいんじゃない」と笑い、苦労を表には出さなかった。ゴルフに集中できるようになった年内最終戦で、歴代単独2位となる12年連続優勝を、射程圏にとらえた。