出場全30人中、最年長51歳の藤田寛之(葛城GC)が今大会、さらには日本タイトル4大会を通じて、最年長優勝を射程にとらえた。10位で出て、2イーグル、2バーディー、2ボギーの66。首位との差を4打から2打に縮め、通算6アンダー、134で5位に浮上した。10年から史上最長の3連覇した「日本シリーズ男」。今度は尾崎将司が96年に果たした、49歳311日の最年長優勝記録の更新に挑む。

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この日で51歳171日の藤田が、過去3度の優勝でコースを熟知する経験と熟練の技で首位に迫った。6番では、第3打を約10ヤード先のピンに当ててチップイン、17番では第2打を50センチにピタリとつけて「記憶にない」という1日2イーグル。最難関とされる18番パー3も、第2打を1メートルに寄せてパーを拾い、笑顔を見せた。

藤田 勝つとか、そんな大それたことは考えていない(笑い)。今の自分は最後の最後、最終日の18番が終わるまで信用できない。体が動かない、技術も落ちてきて、精神的にもビビりながらやっている。(3連覇した当時よりも上回るのは)しわの数とか疲労の抜けにくさ(笑い)。ゴルフが、さびついているのは確か。でも1年でも長く、ここで生きていたいし、ここで結果を残したいと思う。

ツアー通算18勝も、最後の優勝から6年以上遠ざかっている。コロナ禍で試合数が激減し、今夏には初めてシニアツアーに出場した。肉体的な衰えを冷静に受け止めつつ「やっぱりここがトップ。本物のこっちで戦いたい」という思いが、かえって強まった。

今大会はさらに、奮起する理由がある。約6年半、コンビを組んできた同世代のピーター・ブルースさんが、今大会を最後にプロキャディーをやめ、母国オーストラリアに帰国する。「ピーターと最後に、いい思い出をつくって終わりたい」。日本シリーズ男の本領を発揮して“ジャンボ超え”の最年長優勝を目指す理由がある。【高田文太】