プロゴルファーで沖縄大学でスポーツ心理学を研究する石原端子准教授(54)が、全米女子オープンで好成績を残した渋野日向子(22=サントリー)の進化を評価した。今年最後のメジャーで、昨年の全英女子オープンに次ぐ4位。最終日を終えた渋野は「3日目、4日目が本来の自分」と謙虚な評価を下した。

石原 渋野さんは第1日にいいスコアを出した時点でやっていることが間違っていないという確信が持てたと思う。大会前は“まずは予選通過”と言っており、トップにいること自体は予測していなかったが、その状態こそが自分のやってきたことを確認するいいチャンスになった。

ゴルファーはそれぞれに結果を出すための方程式を持っているという。日々のトレーニングの中で式をつくっていく過程を通って、レベルアップしていく。今年はコロナ禍の影響で開幕が遅れ、試合が少なかったことと、いきなりのメジャー連戦という環境の中で結果が出なかった。要するに、方程式の答え合わせをする機会がなかったとみている。

石原 今回の全米で、渋野さんが自分の方程式に確信が持てたと思う。トップに立ったことで、今までやってきたことの答え合わせができた。

また、石原氏は、コロナ禍が渋野の進化を手助けした面もあるという。

石原 シーズンの途中で、コーチやチームに頼っていた部分を自分で考えていくようになってきた。コロナ禍や海外遠征という特別な状況で、そうせざるを得なくなった。ゴルフの原点は自分で考えてやること。自立が本来の意味ででき始めた。

最後に、石原氏は今後に向けての課題も挙げた。

石原 シーズン前半の不調の時に、上半身の鍛えすぎでタッチが悪くなったという方もいました。しかし、私はもっともっと鍛えて欲しいと思います。渋野さんの歩く姿を見ていると、明らかに猫背で、あれは体幹が弱いから。ガンガン、フィジカルをやって体幹を鍛えたら、もっとショットも安定すると思います。【桝田朗】