プロゴルファーにとって、足の骨折とはどういうものなのか-。国内ツアー通算64勝の中嶋常幸(66=静ヒルズ)に聞いた。

中嶋自身、十数年前に“もらい事故”で右ふくらはぎを筋断裂、約3カ月後に復帰も「以前と同じスイングをしたくても、できなかった。後遺症があった」と振り返る。今回のウッズの骨折については「3カ月トレーニングできなければ筋力は当然落ちる。これを取り戻すにはかなり時間がかかる」とし、それが飛距離低下に直結すると懸念。これまでのウッズと同じプレーは難しいとみる。

右足の粉砕骨折。右足はバックスイングで、左足はダウンスイングで体のエネルギーを支える。「右と左は役割が違うだけ。どちらが大事なわけではない。アスリートにとって、小さな骨から大きな骨まで、すべてが大事なパーツ」。右だからと、楽観も悲観もできないという。

ウッズの選手生命は? 「それは本人が一番不安になっているはず。僕らが簡単に『タイガーだから大丈夫だよ』とは言えない。早く元気になってほしいと、祈るしかない」。

同時に、45歳という年齢は米ツアーを戦う上で「マイナスにはならない」と言う。そして「ただ、タイガーの場合はメジャーで勝つことを求めている。それは…」と続けた。通常の試合よりも飛距離やパワーが求められるメジャー大会で勝つほどの復活は、難しいかもしれない。中嶋はさらに続けた。「でもね、マスターズは飛距離よりも経験がものをいう。来年のマスターズに間に合うことを願っているよ」。【岡田美奈】

◆中嶋常幸(なかじま・つねゆき)1954年(昭29)10月20日、群馬県生まれ。75年プロ入り。翌年初勝利を挙げ、13年スターツシニアまで国内ツアー通算64勝、レギュラーツアー賞金王4回。88年全米プロ3位など米メジャー4大会すべてでトップ10入り。19年日本プロゴルフ殿堂入り。