国内男子ゴルフツアーは15日開幕の東建ホームメイト・カップ(三重・東建多度CC名古屋)で今年初戦を迎える。昨年10月にプロ転向して同11月に早くも1勝を挙げた期待のホープ、金谷拓実(22=フリー)がこのほど取材に応じ、3年後に見据える米ツアー挑戦への思いを語った。今後は国内大会に出場しながら、まずは欧州ツアーのシード権獲得を目指し、同ツアー経由で、夢の米国進出を目指す。

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金谷は目標をはっきりと口にした。「3年以内に欧州のポイントランキングで1番をとれるぐらいになって、米国に挑戦したい」。欧州ツアー経由での米ツアー挑戦を掲げた。3年後の2024年には米ツアーの舞台に立っている自分を想像する。「まずは欧州で自分の技術を高めたい」。強い決意をにじませた。

米ツアー参戦ルートは大会優勝でのシード権獲得など、いくつかある。最短とも思えるのはQスクール(ツアー予選会)で米下部ツアー出場権を得て、同ツアー賞金ランキングで上位に入ること。そうすれば2年後にはツアーメンバーとして憧れの舞台に立てる。しかし、その道はあえて避けた。金谷はアマ時代に海外大会でしのぎを削り、欧州ツアーへ活躍の場を移したオーストラリアのミンウー・リー(22)らを例に挙げ「自分と同年代や、ちょっと上の選手には欧州でステップを踏んでから米ツアーにいく選手も多い。ケプカとかも欧州で2、3勝して米国で活躍した。腕が磨かれるのかなと感じた」。

加えて気になったのは、飛距離が注目されがちな近年の傾向。「米国では平均飛距離は下部ツアーの方が飛んでいたりする。でも、トップはそれだけじゃない。コースの難しさもあるし、より洗練されたゴルフをする。そういう意味では欧州の方が近いかなと思いました」。米ツアーのトップ選手ではドライバーの平均飛距離300ヤード越えは当たり前。約290ヤードの金谷も今オフは飛距離アップの練習に時間を割くなど課題に感じているが、そこだけを追求することには違和感を持った。「そんなに自分と飛距離が変わらない選手が優勝している時もある。1メートルのパットを100パーセント決められるようにするとか、どこで自分の強みを出して戦うか。そうなった方が、他選手との差は縮まるんじゃないかと思っています」。

そんな思いを強くしたのは今年1月から2月にかけて推薦枠で出場した欧州ツアー2連戦だった。9位に入ったUAEでのドバイ・デザート・クラシック。米ツアー優勝経験もあるセルヒオ・ガルシアやティレル・ハットンと同組で回り、感じた。「2人とも自分の強みを生かしてプレーしていた。ショットだったり、得意分野で勝負をかける。自分に自信を持っていて確かな技術もあった」。

憧れの先輩の後押しもある。東北福祉大の先輩、松山英樹にも自身の描く進路について相談した。「松山さんは『飛距離におびえがちだけど、もっと他の分野で磨けば大丈夫』という話をしてくれました。まあ松山さんはすごく飛ぶし、何でもうまいですけどね」。

昨冬には今後の海外進出を見据えて米国に本社のあるIMGとマネジメント契約も締結。今年は「東建-」をはじめとした国内大会に出場しつつ、スポットで海外大会に参戦していく。欧州ツアーのシード権を得るため、出場大会でできるだけ良い結果を残していくことが直近の目標だ。「出られるチャンスのある大会にはなるべく出ていきたい。海外で成績を残せば世界ランキングも上がりやすい。東京五輪にも出たいですし、どの試合も頑張らないといけない」。

アマ時代には松山に続く日本人2人目の世界アマチュアランキング1位にも輝いた。次はプロとして。追い求める姿へ向けた、金谷の大事な1年が始まる。【松尾幸之介】