女子ゴルフの今年最初のメジャー、ANAインスピレーションに出場した原英莉花(22=日本通運)が、フジサンケイ・レディース(23日開幕)で4週間ぶりに国内ツアーに復帰する。22日は会場の静岡・川奈ホテルGC富士で18ホールを回り、最終調整。「なんか久しぶりな感じはしないけど、試合に出られるのがうれしいです。気持ちのコンディションは良い。試合が続いていた中で2週間、久しぶりに自分と向き合えた」と、しみじみと語った。米国でのANAインスピレーションから帰国後、2週間の自主隔離などを経て迎える、米ツアーからは3週間ぶりの実戦を心待ちにしていた。

今月6日に帰国後、キャディーら計3人で運転を交代しながら、15時間かけて乗用車で宮崎に移動した。日本オリンピック委員会(JOC)認定の強化指定選手に今年から選出され、ゴルフの競技別強化拠点となっている「フェニックス・シーガイア・リゾート」での練習が、特例で許可されていたため。ANAインスピレーションは、カットラインに8打届かず通算9オーバーで予選落ち。メジャーは初挑戦だった昨年末の全米オープンに続き、2戦連続で決勝ラウンドに進めない屈辱を味わった。ただ、課題ばかりではない。

原英 今の自分に自信を持って戦わないといけない。目標はあるけど、そこに近づくために、まだ足りない自分を考えすぎて「今」にフォーカスできていなかった。今できることに目を向ければ、しっかりと戦っていけるんじゃないかなと思う。しっかりと、今ある試合を戦いたい。日本で実力をつけていきたいので、今にフォーカスできるように練習と試合を1つずつ頑張っていきたい。

日本での試合を全力で戦い抜く決意を新たにした。

隔離期間中はモチベーションが高まり続けた。松山英樹のアジア人初のマスターズ優勝を、最終日は眠い目をこすりながら、深夜から朝にかけて見ていた。

原英 ものすごく感動しました。「スポーツでこんなに人を感動させられるんだ」と、あらためて感じました。本当にかっこよかったです。プロゴルファーとして私も、感動を与えられるような選手になれたらなと思いました。

さらに、国内女子ツアーでは、不在の3週間のうち2勝した稲見萌寧に抜かれ、賞金女王争いでは5位に後退した。「日本のことも、ネットを見ながら刺激を受けた3週間だったなと思います」と、巻き返しへの思いは高まっている。

ただ、1年間ほどは発症していなかった、ぎっくり腰に悩まされているのも事実だ。「2年ぐらい前からぎっくり腰を繰り返す傾向にあって…。今までにない感じ。(以前は)すぐに治っていたけど、今回は1週間半ぐらい経っても、なかなか良くならなくて…。アイシングと治療をしていたけど、なんかずっと違和感がありながら…。まだ完治はしていない。思うようなスイングができなくなってしまっている状況です」。 ただ、隔離が明けた前日21日に、師匠の「ジャンボ」こと尾崎将司に、ANAインスピレーションの報告を兼ねてあいさつに出向き、金言も得た。「(芝目が)逆目の上りをどう打つか考えもんだな、とちょっとしたアドバイスをもらいました」と明かした。この日は「グリーン周りのアプローチで、芝が薄いところと、春になって新芽が出てきてフカフカしているところがあって、そこのアプローチの使い分けを、どうやっていくのかというのを重点的に練習ラウンドで取り組みました」と、課題を持って18ホールを回った。

ぎっくり腰に悩まされていても、4戦ぶりに有観客で開催される今大会で、少しでもゴルフファンを感動させたい気持ちが上回っている。メジャーで結果を残せない原因が、少しずつ見えてきた収穫もある。「全米女子オープンの時よりも、スッとしているというか、ちゃんと現実的に受け入れられた。ものすごく悔しいですけど、そこで戦うまでには試練だったりいろいろある。いつかその場で笑っていられたらなと切り替えた」。将来の米ツアー挑戦、さらにはメジャーでの成功に向けて、まずは目の前の1戦にかけることの大切さを語ると同時に、今大会にかける思いの強さをにじませていた。