山下美夢有(19=加賀電子)が、ベストスコアの65で単独首位に浮上し、2戦連続優勝に王手をかけた。7バーディー、1ボギーで通算9アンダー、133。2位稲見萌寧に1打リードで最終ラウンドに臨む。身長150センチは、西村優菜と並んで現在ツアーで最も低い。173センチの原英莉花、172センチの渡辺彩香という長身の“飛ばし屋”2人と同組だったが、長所を生かして6つ伸ばした。10代で2戦連続優勝なら、88年のツアー施行後では宮里藍、畑岡奈紗、笹生優花に次ぐ4人目となる。

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100ヤード以内のアプローチを次々と寄せて、山下がバーディーを量産した。出だしの1番パー4から真骨頂。ピンまで約100ヤードからの第2打を、2メートルにピタリとつけて幸先よく伸ばした。寄せられなくても、思い切りの良いパットは芝目が強く、難度が高いとされる高麗グリーンで光った。10番と18番で2度も、14メートルのロングパットを沈めた。「これが私のスタイル」。現在ツアーで最も小柄な150センチが首位に立ち、一際大きな存在感を示した。

前週のプロ初優勝は自信をもたらした。同組で回ったのは、173センチの原と172センチの渡辺。飛距離では負けても、スコアでは勝った。昨年のプロデビュー後、周囲の飛距離に圧倒された。「もっと飛ばさなきゃ」。初陣から3戦連続予選落ちする間に、学年もプロ入りも同期の笹生は2連勝した。「アマチュアの時に何回か一緒に回って、その時からすごく飛ぶし、爆発力があった」。焦る気持ちに拍車が掛かった。

苦悩しながらも上位に入った試合で共通していたのは、持ち味が生きた時だった。「一打一打納得のいくショットをしよう」と心がけるようになった。それが前週の優勝で確信に変わった。「原さんや渡辺さんのようなプレーができないのは分かっているので」。武器のショットの正確性とショートゲームは、ここ2戦で一段と輝きを増した。

さらにモチベーションを高めているのは、弟の勝将(近大)の存在だ。オフも一緒に練習に行っては、試合が近い姉のためにボール拾いなど率先してサポートしてくれる。その弟が今週の関西オープンで男子ツアーに初出場し、現在21位と活躍中。「弟に負けないように」と笑顔を見せた。2週連続優勝の重圧も軽減され、「自分のプレーに集中して、いいプレーができるように頑張りたい」。自分らしさを取り戻せる、弟の頑張りを感じながらのプレー。好循環が、山下に上昇ムードをもたらしている。【高田文太】

◆山下が今大会優勝で達成する記録 1988年のツアー制施行後では、04、05年の宮里藍、17年の畑岡奈紗、20年の笹生優花に次いで、4人目となる10代の2戦連続優勝。宮里は10代で2度達成し、最初に2連勝した04年は当時19歳0カ月1日だった。最年少は畑岡で18歳8カ月18日。笹生は19歳2カ月10日で、山下が今大会で優勝すると19歳8カ月23日で、4番目の年少2戦連続優勝となる。初優勝から2戦連続優勝となると西田智慧子、表純子、畑岡、笹生に次ぐ5人目。今大会の最年少優勝は、15年の藤田光里で20歳7カ月0日。山下が勝てば、これを更新することになる。