黄金世代でツアー未勝利の高橋彩華(22=東芝)が茨城GC東コースの大会コースレコートタイ記録の65をマーク、通算9アンダーでホールアウト時点の首位に躍り出た。

15年大会第1ラウンド(R)のイ・ボミ、16年大会第2Rのレキシー・トンプソンと同じスコアを「まあ、うれしいです」と控えめに笑った。「100ヤード以内のショットの精度がとても良く、早い段階でスコアを伸ばせて、予選カットを気にせず、ノビノビ回れました」。パー5全4ホールを含む8バーディーを量産。ツアー屈指のショットメーカーが本来の力を発揮した。

20-21年シーズンのパーオン率(前週まで)74・9158は、19年1位の稲見萌寧を抑えてトップ。オフに週3~4日、スクワットなどで下半身、体幹を鍛えて体重が3キロ増し、飛距離は10ヤードほど伸びた。一方でフェースが閉じて上がるシャット気味だったスイングを、トップでフェースを開くレイドオフ気味に変え、好不調の波が減った。パワーと技術に磨きをかけ、ゴルフのグレードを上げた。

ツアーで過去5度、最終R前など、いずれかのタイミングで1位に立ったが、勝っていない。2週前のKKT杯バンテリン・レディースは単独首位で迎えた最終日にバーディーなしの79と大崩れし、15位に沈んだ。

熊本空港で帰路のフライトを待つ時、母から「優勝じゃなくてもトップ10に入ればいいじゃない」と言われ、気持ちが楽になった。今は「チャンスを何度も作って、それを一つつかめばいい。そのために常に上位にいればいい」と言えるようになった。

今週は自宅からコースに通う。新潟の実家から父が連れてきた愛犬トイプードルの「セナ」と、母の手料理に癒やされる。黄金世代の“無冠の女王”が心身とも最高の状態で決勝ラウンドに突入する。