黄金世代の大里桃子(22=伊藤園)が涙のツアー通算2勝目を挙げた。荒天順延、36ホール競技に短縮された第2ラウンド(R)を68。通算9アンダーで並んだささきしょうことのプレーオフを3ホール目のバーディーで決着させた。先週まで2週連続2位。18年に2度目のプロテストで合格後、同年8月に同世代4人目のツアー初優勝を果たしてから約2年9カ月。パットの不調を乗り越え、待望の瞬間を迎えた。

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約2年9カ月の苦しみが、一瞬の勝機につながった。「グリーンに乗ると思わなかった。ゴルフの神様が導いてくれたんじゃないかな」。プレーオフ3ホール目。18番パー5で残り235ヤード。5番ウッドの一撃はグリーン手前に落ち、前に跳ね、ピン左4メートルに転がった。イーグルこそ逃したが、余裕のバーディーでささきを振り切った。

涙が出た。2週連続2位で迎えた大会で三度目の正直だ。「1勝目は勢い。自分でもビックリ。今日は苦労した分、勝ち取ったかな」。優勝インタビュー中はずっと声がうわずった。

イップス気味のパットに苦しんだ。18年8月CATレディースで勝、畑岡、新垣に次ぎ4人目の黄金世代Vを飾ったが、同年最終戦LPGAツアー選手権で、30センチを外した。「あれ?」と思った。違和感は強まり、19年には「小学生でも入る距離が真っすぐ打てなくなった」という。

パターもころころ替えた。今年4月ヤマハレディースで、パターの長さを33インチから36インチへ。グリップも「順手」右手指先でつまむ形の「クロウ」など3パターンを使うスタイルへ。「要因はいろいろあるけど、要は気持ちの問題」。例えば1メートルなら、以前は「どうすれば入るか」と考えた。「今は入ると思ってない。入ったら“お、入った”って」という。

注目の黄金世代。「ジュニアからずっと一緒にやってきた」という連帯感はある。この日は、ツアー初優勝に挑み続ける高橋に抱きつかれて「私も頑張るから」と言われて、泣いた。渋野日向子と仲良しだ。ただ「渋野の親友」と報じられるのは「違うんじゃね?」と思う。長いトンネルを抜けて、大里が目指すもの。「私は毎年、前の年を上回っていきたい。それですね」。友達、ライバルと競い合う。プロゴルファー大里桃子の第2章が始まった。【加藤裕一】

◆大里桃子(おおさと・ももこ)1998年(平10)8月10日、熊本県生まれ。ゴルフは8歳から。熊本国府高卒後、18年に2度目の挑戦でプロテスト合格し、同年ツアー初優勝でLPGA敢闘賞を受賞。171センチ、60キロ。

<大里桃子の優勝クラブ>▼1W=ブリヂストン ツアーBX(シャフト=三菱ケミカル クロカゲXD60、硬さS、長さ45・5インチ、ロフト角9・5度)▼FW=ピン G425MAX(3W14・5度、5W17・5度、7W22度)▼UT=同 G410(4U22度)▼アイアン=ブリヂストン ツアーB201CB(5I~PW)▼ウエッジ=同 ツアーB BRM(50、58度)▼パター=ピン TYNE4▼ボール=ブリヂストン ツアーB XS