フィル・ミケルソン(50=米国)が、50歳以上では史上初となるメジャー優勝を果たした。首位で出て5バーディー、6ボギーの73で回り、通算6アンダー、282。4アンダーで2位のブルックス・ケプカ(米国)とルイ・ウェストヘーゼン(南アフリカ)に2打差をつけ、ツアー通算45勝目、メジャー6勝目を飾った。50歳11カ月7日での優勝。1968年の全米プロ選手権を、48歳4カ月18日で制したジュリアス・ボロス(米国)の最年長メジャー優勝記録を、53年ぶりに更新した。

出だしでつまずいた。1番パー4を3パットでボギー発進。1打差の2位から出た同組のケプカは、対照的にバーディーを奪い、あっという間に逆転を許し、単独首位から2位に後退。だがこれで、ツアー初優勝を飾った30年前の91年から、一線で活躍し続けてきたスーパースターの闘志に火が付いた。直後の2番パー5で、第3打のアプローチを50センチにつけて最初のバーディー。このホールでダブルボギーのケプカを再逆転した。

3番で再びボギーをたたいたが、5番パー3で勢いに乗った。ティーショットはグリーンを外し、バンカーのような砂地へ。それでもウエッジで放った15メートルの第2打を、直接カップに沈めてチップインバーディーを奪った。1日1万人が上限の観衆の大部分が見守る中でのスーパーショット。大歓声の観衆に向かい、クラブを持った右手を突き上げ、左手でガッツポーズをつくって喜びを爆発させた。

5バーディー、6ボギーと出入りの激しい内容で、1つ落としたが、2番以降は首位を守り続けた。1ホールごとに、ミケルソンを取り巻くギャラリーは増えた。最終18番は、もみくちゃになりながらグリーンにたどり着いた。グリーン周りには、何重にも人垣ができた。来月16日には51歳となるレフティーの、絶大な人気は健在だった。そして15センチのウイニングパットを沈めると、地鳴りのような歓声に包まれる中、両手を突き上げて喜びを爆発させた。

長年、タイガー・ウッズ(米国)のライバルとして争ってきたメジャータイトルは、13年の全英オープン以来、8年ぶりとなった。しかもメジャー史上最長の7876ヤードという、パワーと体力が求められる難コースでの優勝。表彰式では妻とキャディーを務めた弟に感謝しつつ「自分でもこんな経験をするのは初めて。とにかく皆さん、応援ありがとう」と、冗談交じりにギャラリーにも感謝した。「たくさんのサポートがないと、私はこういう場所にはいられません。皆さんがサポートしてくれたことに感謝します」と話し、103回目を迎えた今大会の象徴、ワナメーカー・トロフィーを掲げ、再び大歓声を浴びた。