57位から出た渋野日向子は76と落とし、通算6オーバー、222で68位に後退した。単独5位以上に入れば東京五輪代表入りの可能性も残されているが、厳しい状況となった。スタート前には帯同キャディーの新型コロナウイルス陽性が判明し、急きょ現地のハウスキャディーを起用。ティーショットの距離計算のミスなども重なり、スコアを崩した。ネリー・コルダ、リゼット・サラス(ともに米国)が通算15アンダーの201で首位に並んだ。

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渋野にとって試練のラウンドとなった。インスタートで1つスコアを伸ばして迎えた17番パー3。池越えの143ヤードで8番アイアンで振り抜くと、ボールは無情にもグリーン縁に当たって池に入った。ドロップゾーンからの第3打、第5打、第7打と3度池へ入れるなど「10」をたたいた。首を横に振り、苦笑いを浮かべるしかなかった。

アクシデントはスタート前から起きていた。前日の検査で帯同キャディーに無症状ながら新型コロナウイルス陽性が判明。渋野は陰性だったことから、急きょ現地のキャディーをつけて臨んでいた。満足に英語が話せず、1人でヤーデージブックを見ながらクラブを選ぶ場面が目立った。17番については打ち直しの距離を誤っていたそうで「動揺しちゃっていた。自分がばかだった」と頭をかいた。

後半は吹っ切れたように好ショットを連発、自ら距離計測器を使う場面もあり、2つスコアを戻してホールアウト。インタビューでは「本当に不安だらけというか…。最後まで回り切れてよかった」と涙を見せた。キャディー交代については「めちゃくちゃ助けてもらいました。全然英語を話せないのに、すごく優しかった」と言い訳にはしなかった。

最終日に東京五輪代表争いも決着する。単独5位以上に入れば代表入りの可能性もあるが、状況は厳しい。「今日最後までやりきれたことが良い経験だと思いますし、まだ明日がある」と最後は笑顔を見せた。

◆渋野の大たたき プロテスト合格後、「10」は1ホールの最多スコア。過去の大たたきは以下。

20年10月 全米女子プロ選手権第3ラウンド(R)の10番パー4で第2打を池に入れて4オン4パットで「8」をたたいた。

同年8月 全英女子オープンでも第1R4番パー5で第2打がリンクスコース名物の深い形状のポットバンカーにはまり、トリプルボギーの「8」。