茨城・明秀学園日立高3年の佐藤心結(18)が、1打及ばず、国内女子ツアー史上8人目のアマチュア優勝を逃した。首位から出て4バーディー、2ボギーの70で回り、通算10アンダー、206。優勝した渋野日向子と正規の18ホールは並んだが、プレーオフ2ホール目に敗れた。優勝によるプロテスト免除の特権は得られなかったが、中1日で始まる12日からのプロテスト2次予選へ切り替えた。

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紙一重の差だった。18番パー5で行われたプレーオフ2ホール目。佐藤の第3打は、大会3日間を通じて指折りの正確さで、ピンへと一直線に向かった。だが正確すぎたことが災いし、ピンの中段を直撃。バックスピンのかかったボールはカップから遠ざかった。4メートルのバーディーパットを外した直後、渋野がバーディーとし、優勝の可能性が消滅。家族や同じゴルフスクールの先輩にねぎらわれると、涙が止まらなかった。

「たくさんの有名なプロの方と一緒に、プレーオフまでできた。自分としては出来過ぎだと思う」。表彰式後、表情は晴れやかになっていた。優勝していれば、19年富士通レディースの古江彩佳以来となる8人目のアマチュアV。宮里藍や畑岡奈紗らと並ぶ快挙だった。それでも、アマチュアでプレーオフまで進んだのは、04年再春館レディースで敗れた横峯さくら以来、17年ぶり2人目。十分に歴史的な快進撃だった。

中学3年間所属した陸上部では、ゴルフに生かすために始めた砲丸投げで、神奈川県の地区大会で優勝した。小学校時代はサッカーや野球もやった。ソフトボール投げは、小学5年時に神奈川・小田原市の大会で44メートルを投げて2位。身体能力の高さに、砲丸投げの練習で繰り返した20メートルダッシュなどで培った下半身の強さも加わり、ドライバーは300ヤードにも達することがある。今大会のドライバー平均飛距離は、並み居るプロも顔負けの260ヤードだ。

在学中の明秀学園日立高はサッカー部や野球部も強く「同級生で、学校から初めて直接Jリーグ入りする選手がいて刺激になる」という。プロアスリートへのあこがれは増すばかり。2年前に練習ラウンドを一緒に行う縁があった畑岡からは「絶賛された」といい、今大会中も渋野や小祝が絶賛した。自信も手にして、次は間髪入れずに中1日でプロテスト2次予選。「3日間、やり切った感がある。切り替えてプロテストを頑張りたい」。再びプロの舞台で優勝争いする日へ再出発する。【高田文太】

◆佐藤心結(さとう・みゆ)2003年(平15)7月21日、神奈川・小田原市生まれ。7歳からゴルフを始め、今年の日本女子アマ選手権3位。プロツアー出場は今大会が4戦目で、過去3戦は全て予選落ち。家族は両親と兄。161センチ、57・5キロ。