賞金女王争いが白熱してきた。賞金ランキング2位の古江彩佳(21=富士通)が、逆転賞金女王へ向けて今季6勝目に王手をかけた。2位から出て4バーディー、ノーボギーの68で通算13アンダー、203と伸ばし、単独首位に浮上。同トップで稲見は67で2打差の2位につけた。優勝賞金は3300万円と高額で、条件次第で賞金ランクが変動する。同3位の小祝は、9アンダーで首位から5位に後退した。

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“秋女”古江が、紅葉の迫る名門コースで本領を発揮した。首位小祝とのラウンドは、前半に1バーディーで1打差を逆転。後半は着実に3バーディーを奪って突き放した。ピンチもパーでしのぐ粘りと安定感でボギーなし。追う稲見や上田にすきを与えなかった。

「上がってスコアを見たら、ノーボギーで自分でもビックリ。アンダーで回れたのが良かった」と、見た目以上に苦しんだラウンドを振り返った。前日はキープ率100%だったフェアウエーを、この日は5回も外した。3番、4番、17番とボギーのピンチもパッティングでしのぎ、逆に周囲にプレッシャーを与えた。

2年にまたがるシーズンで、昨年の9月、10月に3勝を挙げ、今年は先月の富士通レディース、マスターズGCレディースと連勝。秋に本領を発揮し、賞金ランクも2位に浮上した。首位稲見との差は約1700万円まで迫った。今大会は優勝賞金3300万円の高額大会。優勝すれば、稲見の順位次第で賞金ランクトップに立つ可能性がある。それでも「あんまり意識しない。明日の1日をどう戦うかしか考えていない」と冷静に話した。

賞金女王のイメージは不動裕理だ。05年、不動が6年連続賞金女王を達成した姿を見た。当時5歳だった古江は「プロになりたい」という思いが芽生えた。「本当にすごいな。自分も賞金女王を取りたいと思わせてくれた」。強い女王の姿は古江のゴルフ人生の原点となった。

最終日は2打差で今季6勝目、通算7勝目を目指す。首位の稲見との直接対決もある。「2打差はこのコースではあってないようなもの。自分のプレーで、抑えるところは抑えてやっていきたい」。景気の良い言葉はないが、古江は冷静に勝利を見据えている。【桝田朗】

◆今大会で賞金ランク逆転の可能性 

首位稲見と2位古江の差は1688万9074円。今大会の優勝賞金は3300万円で2位が2007万9400円。古江が優勝すると賞金総額は2億3059万7575円となる。

古江逆転 優勝かつ稲見が3位以下。

稲見トップ維持 2位以上。2位で総額2億3456万6049円、2位タイで同2億3180万9449円となり、古江は上回ることができない。

小祝は逆転なし 稲見とは3689万2066円差で、優勝しても今大会での逆転はない。