今月上旬のアジア・パシフィックアマチュア選手権に優勝して来春のマスターズ切符を獲得した中島啓太(21=日体大)が通算9アンダーで首位と12打差37位から、通算9アンダーの上位グループに急浮上した。

“裏街道”のインから出て、10番パー5でいきなりチップイン・イーグル。他に3バーディーを奪い、67をマークした。

強く、向きがコロコロ変わる風の中でボギーなし。「パーオンが多かったんで、ボギーがなかったと思います。ショットは全然良くなかったけど、3日間ともいいペアリングに恵まれました」と笑顔を見せた。

兄貴分と言える金谷拓実らと回った予選ラウンド(R)に続き、第3Rでは片山晋呉(48)がいた。

「経験がすごい。何でも知っていて、何でもできる。僕の中では“辞書”みたいな人です」。

自分が生まれる3年前、97年シーズンから来季まで、現在最長の24季連続賞金シードを続けるレジェンドと、自身が代々木高2年だった17年日本オープン予選R以来の同組になった。マスターズ出場は9回、09年4位は松山英樹の優勝前の日本人最高位記録保持者。オーガスタで必要なショット、アプローチ、パットを教えてくれた。「ビックリしました。このぐらいのパットの距離を練習をしなきゃいけないって…」と両手を約25センチ広げた。そんな距離、練習したことは「もちろんないです」と笑った。

朝イチの10番パー5で、グリーン右手前から12ヤードを60度のウエッジでチップイン。“おはようイーグル”に、スタート前「今日は(同組の中島、片岡尚之が)世界で通用するかを見る審査員」と“宣言”した片山が「OK」と言ってくれた。お墨付き? をもらって、順位をぐんぐん駆け上った。

上位争いとなる最終日へ。「たくさんのギャラリーの前でプレーできるのが、本当に楽しみです。(ツアー)残り2試合で全部出し切りたい」。乾いたスポンジのように多くを吸収しながら、V戦線をうかがっていく。【加藤裕一】