イニエスタ、マー君、そして稲見! 女子ゴルフで昨季国内女子ツアー賞金女王の稲見萌寧(22)が、楽天と所属契約を結んだ。22日、楽天の三木谷浩史会長兼社長とともに、都内で会見。ゴルフでは同社所属選手第1号となった。

楽天はサッカーJ1神戸、プロ野球のオーナー企業で、それぞれMFアンドレス・イニエスタ、田中将大投手というワールドクラスの看板選手を擁する。ゴルフ界の枠を超え、スポーツ界の顔へと期待が高まる。

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昨夏の東京五輪銀メダルに続き、稲見が世界基準の実力を認められた。サッカー・スペインリーグのバルセロナ、米プロバスケットボールNBAのウォリアーズと、世界的な強豪のスポンサーを務めた楽天から、白羽の矢が立った。国内でもサッカーのイニエスタ、野球の田中将大と人気競技の看板が所属。稲見は「イニエスタさんだったり、田中マー君さんだったり、素晴らしい選手がいる中で、私がいることで名前が低くなってしまう」と謙遜。だが直後に「そこに恥じないよう、私も目立てるように頑張りたい。いいプレッシャー」と、堂々と話した。

昨季からスポンサーとして支援を受けてきたが、今季からは楽天所属初のゴルファーとなる。三木谷氏は「人格も含めて、社内では満場一致で『ふさわしい選手』ということになりました」と明かした。練習が1日10時間に及ぶ努力を欠かさない姿勢も含め、同氏は「グループのイメージと合致。大活躍を期待しています」とエールを送った。さらに「まさしく日本の女子ゴルフ界を担う選手。(通算30勝の)永久シードを取る選手になって、日本のゴルフ史に残る選手になる」と、絶賛すると同時に、長期的な支援もにおわせた。

主戦場は国内で、3月3日に始まる開幕戦のダイキン・オーキッド・レディース(沖縄)も間近に迫ってきた。昨年は初戦から8戦4勝と、驚異の勝率5割でスタートダッシュに成功。銀メダル、賞金女王と飛躍につなげた。今季はアスリート支援に精通する、楽天からのバックアップ体制が確立。1年間ノンストップで、存在感を発揮できる舞台が整った。【高田文太】

◆稲見の近況 昨季終盤から患っていた腰痛の影響で、オフに入った昨年12月から1月末までの練習量は「30~40%しかできていなかった」という。だが1月中に新トレーナーの沢木弘之氏に出会い、快方に向かった。昨年は年間を通じてクラブを替えなかったが、新クラブの試打も実施中。昨年序盤戦はおおむね好成績と、コースとの相性は悪くない。腰痛再発など体に異変がなければ、国内メジャー初戦のワールド・サロンパス・カップ(5月5日開幕、茨城)までは無休で国内ツアー転戦の見込み。

◆ゴルファーと所属 一般的にプロにとって、賞金を除き、所属先からのスポンサー料が最大の収入源。そのため所属先か用具契約先が、最も目立つといわれるキャップ正面にロゴが入る。大部分の所属先は、他にもキャディーバッグやウエアの目立つ位置にもロゴを入れる。所属先はゴルフ関連企業も多いが、有名選手には一般企業がつくケースも多い。契約形態はまちまち。NECなど1度所属契約した選手は、支援し続ける企業もある。今年1月1日に規定が改定され、アマチュアもスポンサー契約を結ぶことが可能となった。