国内女子ゴルフツアーは3月3日開幕のダイキン・オーキッド・レディース(沖縄・琉球GC)で初戦を迎える。

また同日開幕のHSBC女子世界選手権(シンガポール)から渋野日向子(23)が米ツアーに本格参戦する。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のトップは放映権を含むツアーの現状や今後、女子選手の活躍をどう見ているのか。小林浩美会長(59)に話を聞いた。【取材・構成=高田文太、近藤由美子】

 

-女子ゴルフ人気が高まる一方です。要因は

「複合的で理由はたくさんあると思います。ネットの時代は世界中の強い選手が瞬時に見えている。アマチュア時代から目標が高くなり、体も技術もさらに鍛えてくるようになった。4日間大会も11年は5試合だったが、今年は18試合になるなど、協会も約10年前から十数項目以上のツアー強化に取り組んできた」

-発展に必要ことは

「協会によるJLPGAツアーの主催化が大きな目標です。主催者様にその目的や内容、25年までのマイルストーン(=工程)も示し、協議をしている段階です。やりたいことがいっぱいですが、財源が不十分。日本もプロスポーツのビジネス化によって、次の成長に向かいたいです」

-昨年10月、全放映権の協会帰属化を発表した。23年以降は有料化の方針で進めていく

「その通りです」

-スポンサー離れの不安はない

「女子プロゴルフを選択してくださる理由はさまざまですが、おかげさまで賞金額はここ10年で右肩上がりとなっています」

-インターネット中継は有料の方針は変わらない

「現状はそうです。テレビ局様との話し合いでこのようなすみ分けとなりました。地上波放送と有料生配信の両方で放映され、相乗効果を生んだ大会もある。国内外に女子ゴルフを訴求できる機会と、生でスポーツを楽しむ機会が増えると考えています」

-昔と今の選手の違いは

「目標設定が高く、上位層が厚くなった。SNSなどを駆使し、自分の個性を出すのが上手ですね」

-若い女子選手が増え、どんどん活躍しています

「厚いと思われた世界のメジャーの壁を、渋野さんや笹生(優花)さんらがボコッと打ち破ってくれた。感服します。もう天井はなく、世界メジャーがグッと近づいた。今、ゴルフ界の歴史の大転換期だと感じますし、これから選手はもっと強くなる」

-若い女子選手は何を改善したらさらに強くなる

「60台のスコアをバンバン出し続ける力です。バーディーを量産しないと勝てないメジャーもある。我慢するゴルフから攻め続けるゴルフまで、引き出しの幅を広げることが必須です」

-会長も米ツアーで活躍されました。活躍する秘訣(ひけつ)は

「ゴルフ、言葉、食事、移動が大きく変わります。壁は誰にも来ると思いますが、ここしかない、ここで勝つ、と心底思えれば大丈夫です。私の場合は執念、でした(笑い)」

-渋野選手や古江彩佳選手は米ツアーで活躍する実力はある

「全然あります。2人とも本当にポテンシャルが高い。渋野さんは日本で壁に当たり苦労して、勝って克服した。古江さんも本当にコツコツ努力して、安定度が抜群です。壁にあたってもポジティブにものを見る気持ちが重要です。2人にはそれがあります」

 

◆小林浩美(こばやし・ひろみ)1963年(昭38)1月8日、福島県生まれ。磐城女高卒業後にゴルフを始め、84年プロ合格。国内で日本女子オープンなど通算10勝。90年から10年以上、米ツアーを主戦場に同ツアー通算4勝、97年エビアンマスターズを制し、欧州ツアー1勝。08年からLPGA理事。11年2月LPGA第6代会長就任。現在6期目。