国内女子ツアー史上初のプロデビュー戦優勝へ、佐藤心結(みゆ、18=ニトリ)が首位と1打差2位発進した。昨秋にアマチュアでスタンレー・レディース2位となった逸材がプロ初日に6バーディー、2ボギーで4アンダー、68。ツアー有数と言っていい飛距離とショットの切れで、V戦線名乗りを上げた。

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プロで初めてツアー競技を回った日が4アンダー。上位に食い込んだ。アウト第1組、ギャラリーに囲まれた1番ティーグラウンド。佐藤は「フワフワして地に足がついていない感じで…。アドレスで心臓の音が聞こえた。手のひらに汗をかいてました」と振り返るが、ドライバーショットはフェアウエー真ん中をとらえた。

切り返しで体が一瞬沈むスイングから、ドライバーは豪快に、アイアンでは切れ味鋭くチャンスを作る。パー4の第2打はほとんどがショートアイアン、ウエッジだ。1番で6メートルのフックラインをジャストインさせた。5番は残り100ヤードを54度で1メートル、8番パー3は実測134ヤードを9番アイアンでピン80センチにつけ、楽々バーディーを奪った。

終盤に2ボギーを打ったものの、スコアは68。「もう少し伸ばせたかなとは思いますが、デビュー初日としては上出来です」。穏やかに振り返る語り口に、大物感が漂った。

まだ18歳だ。2日前に茨城・明秀学園日立高の卒業式があった。出席できなかったが、ほやほやの社会人。体調管理と趣味を兼ねた長風呂が好きで、前夜は1時間ちょっとつかった。スマホで、好きなゾンビ系ドラマを見て汗をかいた。「今日の朝が早かったので、今晩はもっとゆっくりしたいです」。母のプレゼントのピアスをつける耳には、1カ月前に穴を空けた。「学校は厳しいんですが(卒業前の)自由登校期間になってすぐに」。ちゃめっ気たっぷりの笑顔には、年相応の幼さが残る。

今大会の帯同キャディーは、アマチュアで出場し、渋野にプレーオフで敗れた昨年10月スタンレー・レディース同様、三觜(みつはし)喜一コーチに頼る。「やはりデビュー戦なので。プロになれるかまだわからないスタンレーの前に“デビュー戦は…”とお願いしました」という。残り3日。上位で戦い抜く準備はできていそうだ。【加藤裕一】

◆佐藤心結(さとう・みゆ)2003年(平15)7月21日、神奈川・小田原市生まれ。7歳からゴルフを始め、今年の日本女子アマ選手権3位。城北中3年時に、陸上競技の砲丸投げで神奈川県の地区大会優勝。アマチュアではツアー出場4戦中予選落ち3回。昨年プロテストで4位合格。家族は両親と兄。161センチ、57キロ。

◆日本女子ツアーのプロデビュー戦V 国内ツアーにおいて、海外でのプロ活動がある選手を除く日本のプロテスト合格者(トーナメントプレーヤー登録を含む)のプロ転向後最短Vは、笹生優花の2戦目(20年NEC軽井沢)。デビュー戦Vは過去にない。野村敏京が11年5月中京テレビ・ブリヂストンで国内プロデビュー戦Vを飾ったが、10年に米国でプロ転向後の出場だった。