西郷真央(20=島津製作所)がついにツアー初優勝を飾った。首位と5打差8位で迎えた最終日、6バーディー、1ボギーの67と猛チャージし、通算10アンダー。2位黄アルムに1打差をつけ、逆転した。

ルーキーだった昨季、0勝ながら2位7回で賞金ランク4位になった“最強の未勝利プロ”がシルバーコレクターを返上。笹生優花、山下美夢有と同じ新世紀世代(01年度生まれ)の実力者が22年開幕戦で覚醒した。

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これが恋い焦がれた初優勝なのか。西郷は「優勝争いを何度もさせてもらってきたから、安心したって気持ちです」と言った。首位渡辺、黄との5打差を追い、最終組の2つ前で回った最終日に67を出し、1打差の首位でホールアウト。プレーオフに備えた練習グリーンで吉報を聞いた。

「ギャラリーさんが教えてくれて“まさか”と…」。横にいた同学年の山下が、2学年上の稲見がハグしてくれた。ところが、笑うだけで涙が出ない。「初優勝は“同組で競り合って勝てたら”と思っていたので」と不思議そうだった。

ルーキーシーズンは7度も2位を重ねた。「もうちょっとだから。大丈夫だよ」。へこんでいると、先輩プロの藤田さいきが励ましてくれた。昨季最終戦後は稲見も「大丈夫」と言ってくれた。コースを離れる車中で「あと1歩の力が足りない」と何度も泣いた。

1年前、首位で迎えた最終日に17、18番の連続ボギーで敗れた大会で優勝した。この日の17番パー4は違った。「昨年、第2打をグリーン奥にこぼした場面がフラッシュバックした」中で、残り97ヤードを54度のウエッジでグリーン奥カラーにつけ、7メートルをパターでねじ込んだ。

最終18番パー5も違った。第2打がグリーン左バンカーにつかまると、高いあごに当たるリスクを避け、あえてピンを狙わず、グリーン左ラフに出した。「オフにショートゲームを鍛えたので無理にピンを狙わず、安心して(ラフに)出すことに集中できた」。15ヤードのアプローチを絶妙なタッチで寄せてパーセーブ。師匠の尾崎将司も絶賛する「ゴルフ頭脳」を正念場でフル回転させた。

悔しくて、がむしゃらに練習した。自分も知らぬ間に「あと1歩の力」を身につけた。「悔しい思いをたくさんした方が、強くなれるのかな」と今では思える。最強の未勝利プロが、最強プロに1歩踏み出した。【加藤裕一】

◆西郷真央(さいごう・まお)2001年(平13)10月8日、千葉県生まれ。ゴルフは5歳から。師匠は尾崎将司で麗沢高3年の19年日本女子アマ優勝。同年11月プロテストに18位合格し“高校生プロ”に。アマチュア時はツアー10戦で19年ニトリレディース30位を最高に予選通過4度。ルーキーだった20-21年シーズンは賞金約1億7900万円を獲得し、0勝選手で最高の賞金ランク4位。日本ウェルネススポーツ大在学中。憧れのプロは不動裕理。158センチ、57キロ。

◆生涯獲得賞金2億円 西郷が優勝賞金2160万円を加え、新人だった昨季と合わせて51試合目、20歳149日で賞金2億円を突破。生涯獲得賞金が2億円に達した年齢としては、05年に20歳105日で突破した宮里藍に次ぐ2番目の年少となった。年少3番目は古江彩佳で21歳150日。

◆初Vまでに2位が多かったプロ 西郷の7回よりもっと多いプロはいる。主なところではツアー最長241試合連続出場記録保持者で通算5勝の表純子は11回。通算10勝の藤井かすみは8回。ちなみに通算50勝の永久シード選手・不動裕理も初Vまでに6回ある。また西郷は20年NEC軽井沢、21年のダイキン・オーキッドと日本女子プロ選手権で最終日を1位で迎えながら優勝を逃していた。