【ランチョミラージュ(米カリフォルニア州)=高田文太】今季から米女子ツアーに本格参戦した渋野日向子(23=サントリー)が、5人が出場する日本勢トップの10位と好発進した。1イーグル、2バーディー、1ボギーの69で回り、3アンダー。6アンダーで首位のジェニファー・カプチョ(米国)、ミンジ・リー(オーストラリア)とは、3打差につけた。

「すごくいいゴルフができた。全体的に安定していたので、いいゴルフができたんじゃないかと思います」と、声を弾ませ、納得の表情で振り返った。

19年AIG全英女子オープンに続く、男女を通じて日本人初のメジャー2勝目へ好スタートを切った。

インコースの前半は「とりあえずボギーは打たんように」と、出だしの10番から8ホール連続パーと、我慢の時間が続いた。そんな中、優勝者がグリーン脇の池に飛び込むことで有名な、名物ホールの18番パー5でバーディーを先行させた。第3打を1メートルにピタリとつけて伸ばすと、後半は2番パー5で2オンに成功。10メートルのパットを沈めてイーグルを奪い、勢いに乗った。

「先週はパー5でバーディーを取れなかったので、今週は取りたいなと思っていた中で、18番でしっかりと取って、イーグルも取って、パー5で伸ばせた1日だった」。伸ばしやすいとされるパー5で、前週のJTBCクラシックは4日間、のべ16ホールのパー5ホールを回ったが、1度も伸ばせなかった。それがこの日は、パー5でイーグルとバーディーを1つずつ奪い、スコアを3つ伸ばした。

3月30日には、「新しい自分になる」と誓っていた。ドライバーを振って攻め、グリーン周りの小技も成長した姿を見せたがっていた。特にドライバーについては「昨日(30日)から、けっこう振れていまして(笑い)」と、この日になって、実は30日から絶好調だったと明かした。「月曜日とか火曜日(28、29日)の練習ラウンドと比べると30ヤードぐらい違う。ラフに入れるなら、短いクラブで打てる分、マシかなと思って『全部振ろう』と、けっこう振っていました」と、攻めの姿勢を持ち続けたことを、この日の好スコアの要因に挙げた。

ただ、振ることができるようになった理由については「うーん、やけくそですね」と、第一声では冗談交じりに語った。その真意は「まあ、これだけ距離が長くて、グリーンも速いと、飛ばないと無理! だったら切り替えて、フェアウエーキープというよりは『前に』というふうに切り替えた」と、距離が長く、難度が高いメジャーのセッティングに対応するため、1段階上のゴルフを目指し、それに成功した結果だった。

同時に、スタートから8ホール連続パーでしのいだところも、それができずに今大会は20年51位、昨年は予選落ち(72位)と、思うような成績を残せなかった。だからこそこの日は「前半は『平常心』というのができていた。3パット(ボギー)が始まるとヤバいんですけど、それに耐えて、3パットをしないゴルフができる回数が増えてきた。去年よりはヤベーところに外す回数は少なくなっている」と、成長を感じられた様子だ。

「最後まで攻められた。ティーショットも去年よりも飛んで、去年とは違う、短いクラブで(第2打以降を)打てていることを実感することで『去年とは変わったな』と思う。振れるということは、スイングも良くなってきていると思う。本当に、変わったと思いたい」。成長という言葉こそ使わなかったが、3度目の難コースだからこそ、成長を実感している様子。

その難コースのミッションヒルズCCは、来年以降、今大会の会場ではなくなる。今年が最後の開催で、その件について外国人メディアに問われると、堂々と語った。「最後のチャンスは頑張りたい」。メジャー2勝目への意欲を、にじませていた。