稲森佑貴(27=国際スポーツ振興協会)がツアー通算3勝目を挙げた。6季連続フェアウエーキープ率1位の“曲げない男”が雨の中、8バーディー、1ボギーのビッグスコア63をマーク。通算16アンダー、264で2打差3位から逆転、3打差をつけた。

過去2勝は18、20年日本オープン。国内メジャー以外で初の優勝となった。2位は黄重坤。石川遼、アマチュア中島啓太は7位だった。

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稲森だけの、ぜいたくで不思議な喜びがあった。「やっとと言うか。ぶっちゃけ(国内)メジャーしか勝ってないってことは…うれしいんですけど、複雑で。もちろん光栄なんですが」。日本オープン以外で手にした初優勝。「メジャーだけで突っ走ればいいじゃん」と先輩にイジられた過去を思い出にする3勝目だ。

国内メジャー以外Vへ。曲げない男が燃えた。パー3を除く14回の第1打で11回、フェアウエーをキープ。8バーディーのうち、1、2、8、9、10、16番の6個はフェアウエーからチャンスを作った。雨で軟らかくなったグリーンも味方に、63で2打差を逆転した。

プロ12年目の27歳。「あいさつされる側になってきて、古株になって。おじさんくさいですが、25歳過ぎて感じるものがあるんです」。強くなり、若手と戦うために体作りを工夫した。

トレーニングは「腹筋が大事」と思い込んでいたが、トレーナーと相談し「体幹、背筋強化」へ。食も改善した。好物のポテトチップスを1日1袋に制限。寝る前に食べるのは厳禁で、お菓子の代用を春雨&トマトジュースにした。1日1本はささみバーを食べ、タンパク質を補充。おかげで体が少し分厚くなった。

目標は賞金王だ。「早いうちに(ツアー)3勝目ができた。4、5、6勝と頑張りたい」。そのベースは当然、フェアウエーキープ率。01年から計測が始まり、15年から6季連続1位。7季連続となれば、現在タイの井戸木鴻樹を抑えて単独最多になる。「自分の理想とする弾道を打ちたい」。昨季の同率は歴代最高77・63%。今季は4戦時点で79・02%。夢の80%台に手が届くようなら…。ショットを曲げず、国内メジャーも通常大会も勝てる男に、賞金王は夢じゃない。【加藤裕一】

◆稲森佑貴(いなもり・ゆうき)1994年(平6)10月2日、鹿児島県生まれ。ゴルフは6歳から。鹿児島城西高1年の10年に日本アマでベスト32、同高2年の11年にPGA資格認定プロテストで一発合格。14年から7季連続賞金シードを守り、自己最高の賞金ランクは18年3位。169センチ、68キロ。家族は妻。