プロ9年目の大西葵(27=YKK AP)が2バーディー、3ボギーの73で回り、通算4オーバーの148で騒動の中、カットラインぎりぎりで予選突破を果たした。23日の第1ラウンド中、大江順一キャディーとのプレーをめぐる意見の相違などから、プレー中にキャディーを交代。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は帯同キャディー規則違反に当たる可能性がある行為があったとみて、処分を審議する方針を示した。4年ぶりVを目指すささきしょうこが6アンダーで単独首位に浮上した。

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大西は雑音を封印し、予選通過を果たした。121位で出て63位まで大きく順位を上げ、70位タイまでが進める決勝ラウンド(R)進出をギリギリで決めた。第1R途中からキャディーはコーチ→クラブ担当が急きょ務めた。この日もクラブ担当の鵜野晃行氏が引き続きキャディーに。2日間で3人目のキャディーとのタッグで、苦しい1日を乗り切った。

大西は「風が強くて、そのことだけに集中しました」と振り返った。前日の極めて異例の出来事については「JLPGAに任せている。何もお答えできません」と口を閉ざした。第1Rは10番からスタート。関係者によると、17番でのプレーをめぐり、キャディーの大江氏はアドバイスを聞かなかったことなどに対し、大西にブチ切れた。さらにキャディーバッグを担がず、見かねた人が手伝ったことにも腹を立てたという。

JLPGAの寺沢範美副会長がこの日、報道陣に対応。大西が第1Rの18番ティーで涙を流し、「帯同キャディーを交代できますか」と居合わせた競技委員に申し入れたと明かした。ルール上、理由がなくてもキャディー交代はできる。同氏は理由や状況を「調査中」と繰り返すにとどめた。

JLPGAは帯同キャディー規則の第2項「いかなる時でもエチケットとマナーを守り、他のプレーヤーに対しても心くばりを忘れず、スポーツマンシップに違反するような言動をしてはならない」に違反する行為があった可能性があるとみて、調査を開始した。「大会期間中で関係各所に迷惑を掛けられない」(寺沢氏)として、大会後に本格的なヒアリングを行い、トーナメント事業部会で処分を審議する方針を示した。

大江氏は15年の中京テレビ・ブリヂストン・レディースのプロアマ戦で藤田光里の帯同キャディーを務めたが、ラウンド中に藤田と口論。その行動が同伴プレーヤーを不快にさせたとして、JLPGAは藤田に注意、大江氏に実質2試合分の職務停止の処分を下している。大西は今季16戦で予選通過は5回。トラブルに負けじと、プロとして結果を残した。【近藤由美子】

 

◆今後は 大江キャディーは第1Rの途中で交代した。JLPGAの寺沢氏は「キャディーの交代は体の不調などでやむなくはあるが、(それ以外の交代は)なかなかないこと」と異例の交代とした上で、交代理由や当時の状況については「調査中です。まとめて後日、あらためてご報告します」を繰り返した。大江氏は第1ラウンドでキャディーを交代後、すぐに会場を後にした。JLPGA側が第2ラウンドの午後以降に、大江氏と電話連絡を取ったものの、本格的なヒアリングは今後行うとした。

◆大西葵(おおにし・あおい)1994年(平6)7月13日生まれ、千葉県出身。千葉学芸高出。14年にプロテスト合格。堀琴音、永峰咲希、柏原明日架らと同じ86期生。ツアー未勝利。20-21年シーズンは19試合に出場し獲得賞金867万7822円で97位。163センチ、56キロ。

◆キャディー キャディーとは、規則にのっとって、選手をサポートする役割。クラブを運んだりするとともに、選手はキャディーに情報やアドバイスを求めることができる。選手に常に帯同する専属と、コースに所属するハウスが大半。よりコースを知るハウスキャディーも力を発揮する。