稲森佑貴(27=国際スポーツ振興協会)が今季2勝、ツアー通算4勝目を挙げた。

首位と1打差2位から8バーディー、1ボギーの65をマークして通算23アンダー、265。1組前の大西魁斗と首位で並んだ最終18番でバーディーを奪い、勝負を決めた。フェアウエーキープ率1位の「日本一曲がらない男」は、6月30日開幕の超高額賞金ツアー「LIV招待」第2戦(米オレゴン州ポートランド)に出場し、スキルアップの糧にする。

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ほぼ同じ距離、よく似たラインで宮本が外したパットを、稲森は参考にした。「思ったよりキレるんだ-」。最終18番、決めたら優勝のバーディーパットは下り5メートル、スライスライン。曲がり幅をカップ1個分から0・5個分増やし、カップ左から放り込み、右手を突き上げた。

1組前の大西と同じ22アンダーで迎えた18番パー4。ドライバーでフェアウエーをとらえ、第2打地点に向かう途中、優勝経験のない芳賀和希キャディーに「泣く準備はできてるぞ」と言われてた。「わかった。オマエを泣かせてやる」-。残り148ヤードの第2打をチャンスにつけ、決めた。号泣する芳賀キャディーの肩を笑顔で抱き寄せた。

「同学年なんです。2、3年前に知り合って何度か(バッグを)担いでもらって。すごく前向きに後押ししてくれるヤツで。僕、勝って泣いたことないんですが、もらい泣きしそうになりました」-。

プロ12年目で初のシーズン2勝目。日本オープンも2度制した稲森には、冷静さも度胸もあった。

27日に渡米し、話題の新ツアー「LIV招待」第2戦に出場する。オイルマネーをバックに創設され、個人戦優勝賞金400万ドル(約5億2000万円)という超高額賞金のツアーで、ロンドン開催の開幕戦には谷原秀人、木下稜介、香妻甚一郎が出場した。「すごくいろんな選手がいて、レベルの高いステージ。いい経験になる」と言い、第2戦のオファーが届くと23日に決断した。

「一緒に回りたいのは、デシャンボー」。昨年2月のWGC(世界ゴルフ選手権シリーズ)で同組で回った。国内ツアーのドライバー平均飛距離264・75ヤード(現114位)の男は、世界一の飛ばし屋に「ボールが落ちてこない。余裕で100ヤード以上も置いていかれた」と笑うが、自分なりの持ち味はある。国内のフェアウエーキープ率は6シーズン連続1位。昨季歴代最高の77・630%を記録し、今季は80%超を見据える「日本一曲がらない男」は「リベンジしたいですね、純粋にスコア勝負で」と自分のスタイルを磨き、貫いていく。