古川龍之介(21=日大4年)が、生涯初のホールインワンを達成するなど66をマーク。通算12アンダー、204で2打差2位から単独首位に浮上した。

本人も仰天の一発が、11番パー3で飛び出した。打ち下ろし分を含め、165ヤード。7番アイアンのショットがアゲンストの風を突く。キャリー後、グリーン手前から19ヤード、右から8ヤードのピンに向かって転がり、カップ右に止まったら…一瞬間を置き、転がり込んだ。

「出ちゃいました」と目を丸くして、その瞬間を振り返った。6歳からゴルフをはじめ、プライベートでもなかったエースが、国内のアマチュア最高峰競技の優勝争い出た。

「普通なら驚いて、騒ぐんでしょうけど、試合だし、同組の選手もいるし…」。その時トップだった同組で日大の同級生、前田光史朗も「そりゃねえよ!」と笑うしかない。古川はグリーンに着くやカップからボールを拾い上げて「前とちょっと空いてるし(12番ティーに)先行っとくね」とその場を離れ、ドキドキを静めた。勢いに乗り、残り7ホールは4バーディー、1ボギー。後続に2打差をつけ、首位に躍り出た。

今季前のオフ、優勝を目標に掲げた今大会だが、万全の状態で入った訳じゃない。22、23日に行われた北海道開催の全国大学対抗戦は東北福祉大、大院大に敗れて3位。日大の主将として活躍できず、試合後のミーティングで泣き言が出た。ドライバーのキャリーは今どきのトップアマとしては飛ばない部類の270ヤード強。マネジメントを徹底し、フェアウエーキープからパーを重ね、ゆっくりスコアを伸ばすスタイルが、ライバルたちのアグレッシブなスタイルに負けたと感じた。

「自分のゴルフって、どうよ?」とヘコんだ。

落ち込む古川を救ったのは、1年後輩で飛距離300ヤード超を誇る出利葉(いでりは)太一郎だ。「龍之介さんには龍之介さんにしか打てない球がある。コースを縫っていく球は、みんな打てないですよ」-。

「いいカツを入れてもらいました」。自分のスタイルを信じなおし、アマチュア日本一のタイトルに王手をかけた。

「目標を18アンダーに置いて、逃げ切りたい」。来季のプロ転向へ。優勝すれば、ツアー出場優先順位を決めるQTも、9~10月の3次からでOKになる。強気、自信を取り戻し、最終日もビッグスコアを狙う。