【ゲイレス(英国)31日=近藤由美子】古江彩佳(22=富士通)が最終日に驚異的なスコア62を出して、米ツアー初優勝を逆転で果たした。首位に4打差の9位で出て、10バーディー、ノーボギーの62で回り、通算21アンダー、267。6番から6連続バーディーを決めると、15番のバーディーで単独首位に立つ。17、18番も連続バーディーで後続を突き放した。今季から米ツアーに参戦。ルーキーイヤーで初Vを飾った。次のメジャー、AIG全英女子オープンには最高の状態で乗り込む。

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神がかったようなショットを連発した。今季から本格参戦した米女子ツアーでの優勝争いも、古江は冷静沈着だった。6番パー3。ピン右1・5メートルのバーディーパットを決めると、一気に流れをつかむ。

11番パー3はピン50センチにつけるスーパーショット。6番から6連続バーディーの猛チャージ。11番のバーディーで18アンダーとし、首位のブティエ(フランス)に並ぶ。15番パー3で約10メートルのロングパットを沈めてバーディー。初めて単独首位に立った。17、18番も連続バーディーで初優勝を引き寄せた。

今季米ツアー出場14戦で予選落ち2度。安定感抜群の結果を残したが、不満があった。「納得いく調子が続かない」。6月末に一時帰国後、父芳浩さんにスイングチェックしてもらい修正した。先週のメジャー、エビアン選手権第1ラウンドは単独首位発進。結果は19位も、好調の片りんをのぞかせていた。

ショットの安定はパットの安定にもつながる。気まぐれな風と地面の起伏が激しい英国特有のリンクスコース。「うまく読みながら、ショットも今日は1日良かった。風を信じながらうまく回れたかな」。慣れないリンクスコースに戸惑い、苦手とする選手も多いが、「嫌いじゃない」と言い切った。

「うまく打つことに集中できている」。難しい風が吹くことで集中力が増すという。「逆に風があってくれた方が、おもしろさは感じている。それにうまく読めている。読めて打つ、というのがすごく楽しい」。むしろリンクスを歓迎するように言った。

強い味方もいた。昨年のエビアン選手権からキャディーを務めるマイク・スコットさんも地元スコットランド・グラスゴー出身。スコットさんは過去大会で2回、フランス人選手のキャディーを務めた。経験豊富なスコットさんも「アヤカは風の読みがいいし、(風の影響を受けない)低い球も打てる。リンクスにとても向いている」と太鼓判を押していた。

5歳のとき、コーチでもある父芳浩さんと練習場で打っていると、隣にいたおじさんから話しかけられた。「上手やな。将来は?」古江は『タイガー・ウッズに勝つんや!』と即答した。米国でトップに立ちたい-。ずっと抱き続けていた夢をルーキーイヤーにかなえた。

常に「笑顔で」がモットー。笑顔を時折、見せる余裕を持って難しいリンクスを攻略。次のメジャー、AIG全英女子オープンが待ち遠しい。

 

▽優勝を飾った古江彩佳 本当にすごく集中できてプレーが終われた。まさかルーキーイヤーで優勝できるとは思っていなかったのでうれしい。いつミスするんだろうと思いながらラウンドしていたが、パット、ショットと切り替えてプレーができた。優勝できてうれしかったので、また優勝できるように頑張りたい。

 

◆古江彩佳(ふるえ・あやか)2000年(平12)5月27日、兵庫県生まれ。3歳でゴルフを始める。高校ゴルフの名門、兵庫・滝川二高に進学し、17年全日本大学・高校ゴルフ選手権優勝など多くのタイトルを獲得。19歳だった19年富士通レディースでツアー史上7人目のアマチュア優勝し、プロ転向。日本ツアー通算7勝。今季から米ツアー本格参戦。同学年のゴルフ仲間からの呼び名は「えってぃー」。153センチ、54キロ。

【スコア速報】スコットランドオープン最終日